無毒蠍 さんの感想・評価
3.2
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
天地が失踪した日…様々な人物の想いが交錯するなか邂逅と別離を軸に愛を表現したアダルトな天地無用です。
いつものように魎呼と阿重霞が言い争いを繰り広げるそんな日常のなか突如として姿を消してしまう天地。
物語はそれから半年後…天地の行方を探し続ける天地ファミリーの様子から幕を開けます。
天地無用! in LOVE2ということですが間に真夏のイブがあるので劇場作品としては第三弾になります。
天地無用は設定が少しややこしくてTVアニメ版に準拠した設定の劇場版や
小説版に準拠した設定の劇場版があるんですよね、
なので設定がすべて共通のものだと思って観ると違和感を感じることもあると思います。
ちなみに天地無用! in LOVE2はアニメ版ベースの作品です。
前作の天地無用! in LOVEからタイトルを引き継いではいますがシリーズお馴染みのドタバタ劇は鳴りを潜め、
全体的にシリアスで大人のムード漂うアダルトな作品になってます。
天地無用という作品では珍しい雰囲気ですね。
天地の失踪はハルナという女性が関与してるのですがその女性は天地の爺ちゃん、
政木勝仁こと遙照の恋人だった女性ですでに故人です。
かつて永遠の愛を誓い合った遙照が地球で天地の祖母イツキに出会い、
自分は忘れ去られてしまったという寂しい想いを募らせて現代に儚い幻として蘇り、
天地と二人だけの世界でひっそり生きていこうとする切ない人でした。
前作はカインという巨悪が存在しましたが今回は悪と呼べる存在はいません。
ハルナのやってることはたしかに悪いと言えば悪いんですが悪人という感じではなかったですね。
ハルナの精神世界にとらわれてる天地はまるで夢を見てるようですが
実際夢を見てたのはハルナのほうかもね、天地との何気ない暮らしが彼女の夢そのもの。
精神世界で二人っきりというのもハルナの死後、遙照がイツキと出会って結ばれたことを考えると仕方ないのかな。
誰にも邪魔されない世界が彼女には必要だったんでしょう。
天地が失踪したということもあり天地ファミリーは落ち込み気味なのでいつもの馬鹿騒ぎはないのです。
派手なバトルもなく様々なキャラクターの想いに動きを置いた作品になっており、
まさに大人の天地無用!という印象でした。
物語は静かな進行なので退屈に感じる人もいるでしょう。
私はハルナみたいなタイプは好きなんでそこそこ楽しめました。
ハルナの想い、遙照の想い、魎呼と阿重霞を初めとする天地ファミリーの想い…
そして天地の想い…様々な想いが交錯するなかそれぞれが本当の居場所へと帰っていくそんな優しい作品でした。
【B+78点】