たまきや さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
戦車映画は映画館で観てこそ
劇場で観て良かった。
OVAの感想といいつつ実際は新宿バルト9で観た感想なので、家庭のテレビで観る感想よりもちょっぴり上げ底評価かもしれない――いやいや、その上げ底にこそ面白さがあるのだ。圧倒的な大画面と大音量。本作こそ映画館で観るべきだ。
なにせ戦車がとにかく動く。イタリア戦車がバギーカーよろしくすっ飛び、履帯がちぎれんばかりの旋回に次ぐ旋回、そして砲撃、砲撃、砲撃の雨あられ。極めつけは砲身を使ったつばぜり合い。戦車の重量感とスピード感がアニメならではの絶妙なデフォルメ演出で気持ちよく描かれている。音だって負けてはいない。これでもかとスクリーンを突き抜けてくる重低音が五臓六腑を揺さぶる。大画面と大音量の大迫力。マイうさぎちゃんハウスではこの快感は到底再現できるわけがない。
物語はといえば、「これがTV本編のあのエピソードに繋がるんだよね」的なシーンがあちこちに散りばめられ、ファンの心を上手にくすぐる。物語終盤、TV本編の「あのカット」をすかり忘れていた頃に例の「あのカット」に繋げてくる。これにはまいった。このつじつま合わせには拍手喝采だ。
全編を通して明るいトーンで描かれた今作は、お祭り感満載でどこを切り取っても本当に楽しい。
さて、ここまで褒めておいてアレなのだけど、ファンサービスのお遊びがちょっと多すぎたようにも感じた。もちろんそれは、キャラクター一人一人に見せ場を作って欲しいというファンの願いを制作者が丁寧に叶えてくれた結果なんだろうけれども、40分程度の中編アニメにはさすがに詰め込みすぎだろう。あれだけの数のキャラクター一人一人に小ネタをやらせるものだから、メインストーリーの印象が薄くなるのもむべなるかな。
正直に言って、カエサルとカルパッチョのエピソードはいらない。いや、話としては悪くない。まったく悪くないんだけれども、そのエピソードはわざわざ新キャラを出してまでやることなのか、既存のキャラにもっとスポットライトを当てても良かったのではとつい思ってしまう。
ま、それはそれ。
久しぶりに観たガルパン世界は相変わらず楽しいと再確認できて良かった。そうだ、お祭り映画が小ネタ満載で誰が困るのか。
そんなわけで、戦車映画は映画館で観てこそだと思う。家では味わえない興奮が映画館にはある。今年公開される、たぶん公開する、来年なんじゃないかな、まちょっと覚悟はしておけな「劇場版」がますます楽しみになってきた。
さあ、みんなで劇場へパンツァーフォー!