くし さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
回想
台詞は無く、ただ美しいピアノの響きと冷たい雨の音だけで、観る人それぞれの心に思いを馳せることになる10分程の作品。
その短いストーリの中に年寄りの回想と幼い娘のほっと癒される情感が溢れている。
おばあさんの往時を回想する遅い時間の吹き溜る部屋と、雨の滴落ちる音、時を刻む時計の音、湿った空気が今から始まる物語を連想させる。
静寂をまとった侘びしさ広がる雨降る寒色の街に、対比する一点の黄色をまとった小走りに進む女の子。
ここに忘れた寂しさと、新しい時代を生きる者の楽しさを感じる。
街に取り残されたブリキ板で作ったような簡素なロボットもこの娘と触れ合う事で昔の楽しかった時を回想する。
昔の遠い繁栄…、出会いと別れ、そして今の老いて忘れられた屍の街…。
この作品の世界観をあなたはどう感じるだろう。
おばあさんの回想とロボットの回想。
私も自分の部屋を見回して、往時の残した形見を慕わしく眺めた。
この短い作品できっと遠い昔の思いにふける事が出来るかもね。