woa さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
止め絵が秀逸なアニメ
2009年放送。全11話。
ストーリーの概観だけ話せば女子同士の恋愛心理を描いた作品と一見思われるが、必ずしもそうではない(少なくともアニメにおける解釈ではもっと広い「友情」が描かれているように見える)。
万城目ふみの幼少期、奥平あきらに募らせていた感情が十年の歳月を「軽く飛び越え」、ふみの「変わらなさ」は彼女が物語の冒頭と最後に昔と同じようにあきらに再会できた喜びで「泣く」ことで分かるのだが、一連のふみの挫折や感動をあきらは「ふみちゃんはすぐ泣く」の一言で的確に表すのだ。
ふみの防虫剤の匂いのように誰もが気づかないようなことも、あきらのみは気づくことができる。
冒頭のふみが鎌倉に戻ってくることとふみとちづの離別、最後の木造の校舎が取り壊されることとかつてのあきらとふみの離別はおそらく並行的なのだが、どちらもあきら(鎌倉)にふみが戻ってくる過程、「大切なもの」を思い出す経緯なのである。
つまり「青い花」は、あきらというもう一人の主人公の「内面」、彼女自身が自問しているように、最大のテーマとして設定されているのだ。
あきらの独白というのは、ふみの過剰とも思える自己表現に比べれば、全編に渡ってごくわずかな断片でしかない。
しかし、内面が描写されない故に、取り壊される前の小学校を前にして、ふみに感情移入している視聴者は物語が終わってしまう(引っ越す)ことの悲しみ(それをあきらは大変だと言うのだが)をあきらと共有していると錯覚することができる。
同性愛の経緯が、異性愛の挫折をその発端にしていることは、ふみの元恋人であるちづが「男性」と結婚し、女性同士の恋愛特有の挫折(結婚し子供を産むことが出来ない)の結果として先輩と出会ったことからも分かる。
しかし、実際同性愛やバイセクシャルの人間は異性愛者よりも人間や生命一般への情愛が深いという科学的な仮説がある。
勿論、同性愛者が異性愛者よりも多量に分泌する脳内物質(名前は忘れた)と情愛一般との相関関係は必ずしも確定しているわけではないが。。。