無毒蠍 さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
人の優しさと欲深さが交錯する騒動に巻き込まれながらもそれを経て成長していくヨヨと彼女を支えていく人たちを描いたスペクタクルファンタジーです!
原作の存在するタイトルを劇場版オリジナルストーリーで作品化したものらしいですが
世界観、キャラクター、物語など非常にバランスのとれた作品で面白かったです。
魔法や呪い、キャラクターに関する詳しい説明などは特になかったのですが気にならなかったです。
「かけます、ときます、のろい屋しまい!」
「魔の国」という魔法世界で依頼を受けてそれで生計をたてている魔女っこ姉妹ヨヨとネネ。
ヨヨは見た目小学生くらいなんですが実はネネのお姉さんらしいです。
絵本級とよばれる大魔法使いで魔力は底なし。
ネネさんは妹なんだけどヨヨより大人っぽくて清楚で素敵な女性です。
物語はそんなヨヨが呪いの捜索中に別世界に飛ばされてしまうところから始まります。
ヨヨが飛ばされた世界は魔法とは無縁の現実世界で僕たちが住んでる世界ですね。
その世界でタカヒロや兄の健生と出会い、
魔の国と現実世界の双方に影響を与える呪いの原因究明ならびに呪いを解くというのが
全体の流れになってます。
魔女っこ姉妹ヨヨとネネというタイトルですがどちらかというとメインはヨヨになります。
なぜかというと別世界に飛ばされたのはヨヨのみであってネネは魔の国にいるんですよ。
なので登場シーンはヨヨとの通信時が多くなります。
しかしネネの印象が薄いということもなく最後まで観れば
まぎれもなくこの作品は「魔女っこ姉妹ヨヨとネネ」だなと納得できました。
僕らの世界でも他国の人との交流には文化の違いという言葉が多々用いられますが
この作品にもそういったテーマは出てきます。
魔法さえあれば何でもできると思ってるヨヨとかね、
序盤のシーンで車に轢かれそうな子供をヨヨが助けるシーンがありますが
感謝する母親に対してヨヨは何でそんなに嬉しそうなのかわかりませんでした。
なぜなら死んでも魔法で生き返せばいいという「常識」がヨヨにはあるのです。
しかしそれはタカヒロをはじめとする現実世界の人間からしてみれば「非常識」以外のなにものでもなく
そういった溝が浮き彫りになったりもします。
そしてヨヨから魔力が失われ大切な存在を亡くしたときヨヨは初めて自分の無力さを痛感するのですが
同時に現実世界の魔法を目の当たりにしました、「医療」という魔法に。
ちゃんとこの世界にも魔法はあったんですよね、
遠い昔から成功と失敗を繰り返し磨き上げてきた医療技術。
「医は仁術なり」
その時ヨヨはなぜ子供の母親が自分に感謝したのか理解したことでしょう。
助かって当たり前じゃないからなんですよね。
魔の国の人間からしてみれば魔法で当たり前のように生き返るものなんでしょうが
現実はそうじゃない、失われゆく命があるからこそ救われた命に感謝し人は日々を生きていくのです。
現実世界の魔法にヨヨもきっと「目からお汁粉」だと思いますよ。
そんな序盤から中盤にかけるヨヨの成長をまわりのキャラクターを巻き込みながら描写していき
徐々に盛り上がりを増していく物語は素晴らしかったです。
王道展開が良いほうに転がってますね、BGMも相まってスケール感も2割増しくらいに感じます。
人を喜ばせたり助けたりするのが魔法なのだとしたらそれはきっと誰しもが使えるものなんでしょう。
正直あまり期待してなかったのですが思ってた以上に楽しめてよかったです。
これはたしかに埋もれてるかもしれませんね、いい拾いものでした。
【A80点】