退会済のユーザー さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
深く消えない傷
剣心が何故殺さずを誓い、流浪人として弱き人のために剣を振るっているのか。
この作品は、そんな剣心が「人斬り抜刀斎」として生きていた頃の物語。
皆、自分の正義を、志を持ち剣を振るうそんな時代です。
そんな中、剣心はひとりの女性と因果な出会いをします。
その女性の名は巴。
憂いを帯びた静かな女性ですね。
{netabare}
まだ少年らしさが残る剣心の寝顔。
冷えるからと、羽織をかけてあげる巴の優しさ。
彼女の剣心に対しての心配な気持ち、痛いほど分かります。
「ありがとう」
剣心が巴へ言ったその一言が、どんなに胸いっぱいになるか男性は知りませんね。
これは、女性にしか分からない気持ちなのではないでしょうか。
女とは鞘になるくらいしかできないのです。
それくらいしかしてあげられないのです。
私は見届けたい
この目で確かに
このセリフ、まるで巴に試されているかのようなセリフでした。
儚そうに見えて巴はとても強い女性ですね。
{/netabare}
ふたりで穏かな生活をしていくことによって、お互い心が溶けていきます。
だんだんと。少しずつ。
{netabare}
剣心の道は椿の花のような真っ赤な道です。
そこを歩いてきた。
そこしか歩いてこれなかったのです。
そんな剣心を巴が抱きしめているのですね。
守るべきものが心の中にあるとき、人は強くなる。
劇中のセリフです。
{/netabare}
ひとりの人の中に、こんなにも強く居続けることができたなら。
ここまで深く深く傷を残せたなら、刻み付けられたのなら。
どんなに辛くとも本望だと私は思います。
{netabare}
君を守る資格などなかった
それでも…!
過ちを犯さない人などいない。
{/netabare}
この言葉は重たい。
「許す」ということの寛大さ、身に沁みています。
相手の過ちを許すということ、それはとても難しいです。
許せなくてもがく、苦しむ。
そうして気がつかないうちに自分の中が真っ黒に染まっていくのです。
気づいたときにはもう遅い。
闇はすでに深く、もうそれは決してなくなることなどない。
いつまでだって中に居続けて、忘れた頃に時折顔を出すのです。
許してあげなさいと問うこの物語、私にとってまるで断罪のようです。
苦しい。みていることがつらい。
ただ、そんな真っ黒に対抗できるただひとつのものは、「愛」だと思うのです。
それを描いているのだと感じました。
愛された記憶、愛した記憶、それだけが心に明かりを灯すのではないでしょうか。。
生きる意味にも繋がっていきます。
その明かりを胸に抱き、剣心は生きていきます。
剣心の背負っている業。
十字傷。逆刃刀。
この物語をみると本編の感じ方も変わってきますね。
人とは、愛とは。
そんなことを真剣に考えてしまいました。