スパイ隊長(休止中) さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
一般の評価は低いけど・・・
ここでの評価が低くて最初は見るのを戸惑っていたが、OPがかっこよくて思いきって見た作品だった。なかなかシリアスな展開で少し鬱っぽいところもあって、自分的には結構楽しめた。1クールだったためか、最終回が駆け足だった気が若干するのでその点が少し残念だった。2007年の作品なので、少し今の恋愛アニメとは違う雰囲気だが、昔らしいと言えば昔らしい良いアニメ。評価の斜め上をいく作品だと思う。
「Tears Infection」/KAORI(OP)がおすすめ。
「キミと夜空と坂道と」/いとうかなこ(ED)もなかなかの好曲。
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上記は編集前のレビュー。
下記は再視聴後のレビュー。
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「良作」
※自分のレビューを見るときはプロフィールを参考にしてください。
ゲームは未プレイ。
5年ぶりに故郷(?)に帰ってきた日高 佐菜(主人公)が当時の友達(4人)と再会する。
その5年の間に八代 菜々香(ヒロイン)は火事で(何とか自分は生き延びたが、)両親を失い、性格が一変する。
佐菜は「昔のように菜々香と仲良くなれたらなぁ」と思いながら学校生活を送る。
上(編集前)のレビューでも書いているように、なかなかシリアスな展開で、少しどころか結構鬱なアニメだと思う。
主要な人物はみんな闇のようなものを持っていて、見ていて辛くなってくる・・・。
だからなのか、ところどころ心を休ませてくれる話もある。
ここで少し中身について。
●11話での双子の姉弟の駆け落ち。
いや、もちろん世間的にも常識的にもあってはならないことだとは思う。
でも、何故かこれに関しては泣けた。
変に言えば「ヨスガノソラ」の最終回とおんなじ様なものなのに、全然違う心持ちになった。
う~ん、どうしてだろう・・・。
まあ、たぶん二人に同情できるからだと思う。
この二人は母親を幼い時に亡くしてて、父親は政治家で自分(世間の目)しか気にしていないし、再婚相手は金目当ての若い女だし、なかなか嫌な家庭だと思う。
正直、自分が生きていること、家族と仲が良いこと、それらは「あたりまえ」のことだと思っていた。
でもそれは「あたりまえ」のことではなく、「すばらしい(は言いすぎかな)」ことであるんだと改めて感じた。
そんな両親もいて贅沢でなくとも普通に生活できる自分でさえ「苦しい」「辛い」と感じるんだから、ましてやこの二人はもっと苦しいはず。
でも、そんな「苦しみ」なんて当の本人たちにしか完全に理解することはできないし、部外者はそう易々と「大丈夫だよ」なんて無責任な言葉は言えない。
だからだろうか、この二人の駆け落ちは許されることではないけど、許してしまう・・・。
ま、アニメだから許せる、と言ったらそこまでなんだけど。
●とにかく、みんな闇を持ちすぎ!
キャラ設定から鬱展開にする気満々ですね・・・。
・主人公は中学時代いじめられ転校
・ヒロインは火事
・双子は家庭問題
・ある女の子は「好き」が転じて「憎しみ」に
・小学生は大人であろうとする
上の箇条書きは簡略化しすぎていて意味がわからないとは思いますので、簡潔に説明させてもらうと、
・主人公はいじめを経験して中学校在学中に私立に転校、精神的に参って高校はほぼひきこもり、ついには故郷の(昔の友達のいる)高校に転校。リストカットの跡を隠すため常時腕時計着用。
・ヒロインは上述通り火事で両親を失い、その時の記憶が曖昧、かつ火やそれを連想できるもの、火事へのトラウマ。
・双子は上述通り。
・双子の姉の方を(ずっと)好きな女の子は告白してフラれて、でも友達として居続けるうちに、あたかも告白がなかったことにされていると思い、「憎しみ」へと変わる。
・小学5年生の女の子は親がなかなか家に帰ってこないので「大人」であろうとする。
まあ、キャラが濃いのは結構なんだけど、なかなか重いんだよね・・・。
OPが凄いハイテンションだから余計重くのしかかってくる。
この作品の題名、「Myself ;Yourself」
もちろん「私自身 あなた(たち)自身」という意味ではあるが、最後まで見るともっと深い意味があるのでは、と思えてくる。
「自分は一体何者であるのか、あの人はどういうひとなのか」
表には見せない裏の顔・感情を追及していく、話のように思える。
気になる人、友達、家族、そういった人たちが本当はどう思っているのかを知ることができれば、どんなに楽か。
ま、そう上手くはいかないけど・・・。
それよりも「自分を知る」ことの方がよっぽど難しい。
「自分」というのは他人によって初めて認識されるもので、自分自身をどう思っていようと「自分」という価値を決めるのは他人である。
本当は自分のことは自分で決めたいけれど、社会はそう上手くはできていない。
それでも、自分が思う「自分」に近づけられたら、きっとより良い人生を歩めるんだろうなぁ。
自分を知って、他人を知る。
まだまだ知らないことだらけだと痛感しますね・・・。