STONE さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
善悪で割り切れない世界
原作は未読。
正直なところ、1期は終盤においてはアリババの心の問題を繰り返すなど、グダグダした感が
あったが、本作は1期よりメリハリがあり、かつ登場キャラの魅力をうまく引き出していた
ように思える。
これは舞台が新たな場所になったためにうまいこと仕切り直しができたためかなと思うが、
その反面、主要キャラ以外の1期で活躍したキャラにあまり出番が無かったのがちょっと寂しい
ところ。
序盤から中盤のアラジン、アリババ、モルジアナ、練 白龍の船旅から、アラジンの
マグノシュタットでの修行辺りはシリアスとコメディのバランス感覚がいい。この辺の楽しい
感じは1期ではあまり感じられなかったもの。
ただ、四人の船旅は本当に楽しそうであったが、その先の白龍の進むべき方向を考えると、
本当に四人が仲良かったのはここまでといった感じで、先を知ってしまうとある種の寂しさも
こみあげてくる。
ファンタジー作品ではあるが、現代にも通じるような社会問題を取り入れたりするのは
相変わらずといったところで、ザガンの海賊やマグノシュタットにおける魔導師など、単純に
善と悪に割り切れないような部分などは作品に重厚さを与えてくれる。その代わりに
ファンタジーバトルものとしてのカタルシスを得にくいところも1期と同じだけど。
日曜の夕方放映なのにグロいシーンを入れたりと独特のスタンスも相変わらずだが、人が
切断されるようなシーンはシルエットになっていたりと、演出でうまいこと処理されている。
これを書いている現在(2014.12.07)、最近視聴している作品の中で、
「TERRAFORMARS」、「アカメが斬る!」などバイオレンス描写に関する規制が強い作品が
ある。規制に関しては送り手側の自主判断であるためか、規制の緩い「寄生獣」、
「PSYCHO-PASS サイコパス 2」なども同時期に放映されているのが面白いところで
あるが。
この規制に関しては「佐世保女子高生殺害事件」以降強化された印象があるが、本当の
ところはどうなんだろう。
この残酷描写の規制だが、どうも視聴時に気を削がれるため、この作品のように演出で
うまいこと誤魔化してくれる方が、個人的にはありがたい。まあ、作り手としてはエロ規制と
同じく「規制を取りたければ製品版を買いなさい」というところなのかもしれないけど。
後半はマグノシュタットを中心軸に、レーム帝国と煌帝国の勢力争いなど、やけにスケールの
大きい展開になるが、この辺からストーリー、作画共に少々雑になった感があった。
ラストは巨大な依り代に対して、オールスターで対するといった感じで締めたが、原作が連載
中のためかストーリー自体は話途中で終わった感じ。
キャラ数は延べ人数だとかなりの数で、それに合わせてキャストも多数だが、個人的には
チョー演じるマタル・モガメットの若い頃から今に至るまでの思想の変遷や、伊藤 美紀演じる
練 玉艶の悪へ心酔するいかれた感じなど、ベテランの好演が印象的でした。