オキシドール大魔神 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
なかなか面白かったが、期待しすぎた
本作から数えて前作と前々作、B級グルメと宇宙のプリンセスが凡作だったこともあったが、それを差し引いてもなかなかに面白かった。ただ、今作は泣けるかもしれないと期待していた分、泣けなかったのが残念。
とはいえ、全体的な構成や物語の展開などはほとんど文句がない。社会見学でのロボとーちゃんのヒーローっぷり、中盤のロボットvsロボットのアクションは、ロボットというギミックを活かして(たとえば、上半身が1回転など)個性的で面白かったし、女性専用車両やレディースデーなど、女性を優遇している現代社会を風刺するようなシーンがあるのも、個人的には良かった(もちろん、今作中にあるような極端な男尊女卑社会も駄目だが)。
後半のトンデモギャグアクションもいかにもクレしんらしい。野原ひろしとは何を持って野原ひろしなのか、考えさせられるシーンもある。
ラストの腕相撲には多少感動したが、惜しい出来だった。あくまで一個人の意見だが、人格がある者同士の入れ替わりならともかく、今回のようにコピーして増えただけで、代わりに誰かの人格が消えるなどしてないならば、それは「もう一人のその人」と言っても間違いではないと思う。だから、ロボとーちゃんにももっと熱くなってほしかった。そんでせっかくのロボットなんだから、負ける時は肘から千切れるとか、普通の人間では基本的にまずあり得ない、絵的にも堪えられない描写をしたら、本物とーちゃんとロボとーちゃん双方の必死さがより際立って良かった(中盤のロボットアクションはその辺を活かしている)。ただまあ、ロボとーちゃんを退場させる事=擬似的な野原ひろしの退場ともいえるので、感動的演出をする手法としては上手かったかもしれない。
一つだけ気になったのが、みさえがロボひろしを、社会見学時にしんのすけを助けるまで受け入れられなかった事。一般的な常識人なら、ロボットになった夫を受け入れられないのは至極まっとうなのだが、野原家の絆やこれまでの潜り抜けてきた修羅場を考えると、ロボひろしくらいは受け入れるほうが自然だと感じる。少なくとも、元々ロボットが好きとはいえ、しんのすけはあっさり受け入れていた。みさえが薄情に見えてしまったのは自分だけだろうか。もっとも、だからこそ社会見学後でみさえがロボひろしを受け入れるシーンが際立ったり、中盤で結局みさえは生身のひろしに駆け寄り、その時のロボひろしの寂しさも際立つのだが。。
ゲスト声優はややヘタではあったが、まだ若手の女優だしまあこんなもんだろうという程度。敵キャラも個性的。段々原照代ちゃんもアホ可愛くて良かった。
総評として、悪く言えば詰め込み過ぎだが、良く言えばバラエティーに富んでいてエンターテイメント性が高い名作。みさえの対応をもう少しみさえっぽくして、ここぞというシーンでもっと力を入れて泣けるほど感動できていればさらに良かった。
どうでもいいと言えばどうでもいいのだが、「父」よ、「ゆ」うきをもって、たちあが「れ」、略して「父ゆれ」同盟は無理矢理すぎると感じた。もっとも、この手の無理矢理なノリは今作に限った話ではないが。