イシカワ(辻斬り) さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
主役はただの人
記載されているレビューに対する反論・論戦を行いたい人は、メッセージ欄やメールで送りつけるのではなく、正しいと思う主張を自らのレビューに記載する形で行ってもらいたい。したくない時、受諾しない時は以降の文章を読み進めないこと。受諾する方のみ文面を読んでもらいたい。参考になったと思うときのみ、参キューしてほしい。
概要。
小学校低学年、まだ男や女の人格形成にあやふやなところがある世代だが、どこかしら類似する人間性は言葉に出さない親密感につながっていく、そして自然と絆を結び付けて行く。
しかし、両親の都合により転校という形で引き離されてしまう。それでも絆は切れず、空を見上げては互いのことを想う。
類似からくる親近感からはじまった二人の関係は、少しずつ恋愛感情へと育つ。
逢いたい、引き寄せられる想い。携帯のメールが一般化するようになっても、彼らは心を伝える術がない。
目の前にいても言葉にできず、いくら手紙を書いても、渡すことができない。再び出会っても、互いを抱きしめて、言葉がなかった。
互いを想いあいながら、別の土地で、別々の人生を歩む。
社会人になり、お互いが相手のことをもう忘れていると想いつつ、絆は切れない。
そんなストーリーだ。
この監督の作り出す作品から、どんな人格をしているか見えてくる。彼のやろうとしている視点から見た世界が作品だから。
彼からすると、ディフォルメも圧縮もしない原寸大の悩みを持った人を使って、一般人との共感を呼ぼうとしている。
スーパーヒーローではなく、派手な世界観なら確実に単なるモブの人。才能でいえば確実にない。一般人たちに焦点を当てようとする作り。
だからストーリーの根幹も人が誰でも通りそうな道、誰もが通る難関を描こうとしている。空想の産物というか、設定がほとんどない。現実はハッピーエンドにまずならないから、それもまた同じ。そのあたりが、秒速五センチメートルには出ている。
スーパーヒーローは人々の願望の結晶。萌えキャラは、求める理想の女性像。派手に撃ち回り綺麗に仕上げるアクション……そういった作品に違和感を持った人ではないか。
アニメ世代の両親が、近頃のアニメを理解できないのはよくあることだが……実は、肌で違和感を感じていると思う。
その違和感がある人がもし監督だったらどんな作品を作るか、どんな作風になるか、それが新海誠の答え。それが作品なのだろう。
初見した瞬間、なぜあれほど美しい作画であるのに、二人の主人公はあのように平凡で地味な作りなのか?
疑問が生じたが、それは一般人を主題にしたい、そういうカテゴリを作りたいと望む監督の意思の現れに見える。
商業主義、売れる作品を作るための、いわゆる「あざとい作り」に対してのアンチテーゼにすら思える。
そのあざとい作りが大好きで、願望を描き出してくれない作品を求める気力がない人なほど、意味を感じないだろう。
追記
レビューに記載された言論を規制したい人は、個人の意見を以てするのではなく、あにこれの法的論拠に基づいて規約に記載する必要がある。
運営諸氏に連絡し、説得し、規制を規約に付け加えてもらうこと。