OZ さんの感想・評価
3.3
物語 : 2.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
倫理観によって評価が異なるアニメ
原作のライトノベルは読んでいないが
1期が楽しめたので
引き続き観てみる事にした第2期作品
■倫理観によって評価が異なるアニメ■
1期同様 コメディを主軸に
結末によって賛否が分かれる事となった『俺妹2期』
前作は京介や桐乃を中心とした
青春ホームドラマに近い作品だったが
今作品は"青春"らしさが影を潜め
代わりに"ハーレム"要素が表面化されている。
毎話 違うキャラクターをメインに据えている為
人物の背景が前作より浮き彫りになり
しっかりした人物描写になっているので
京介との関係性が理解し易く
キャラ同士の会話劇がより楽しめる内容だ。
一方で足を引っ張ったのが構成の乱れ。
第15話の京介に向けた加奈子の告白は
唐突とまで言わないものの
桐乃を引き立てる為に取って付けた様な展開なので
必要あったのか疑問である。
特に気になったのは第12話。
京介の部屋から帰るあやせを
陰から盗撮してるかの様な
謎の人物描写があるけれど
結局最後まで分からず仕舞いと
原作からどこまで省いたのかは分からないが
回収しない伏線を
バラ撒いただけになってしまっているのは惜しい。
回を追う毎に増していく
血の繋がった「兄」と「妹」の真剣な恋愛。
本気なシスコンとブラコンを
「仲の良い微笑ましい兄妹」と捉えるか
バッサリ「気持ち悪い」と捉えるかで
観終わった後の印象は大きく変わってくる作品である。
■京介ってこんなキャラだったっけ?■
前作では妹の為に体を張り
アメリカにまで説得しに行く
やる時はやる男だった京介。
今回は一転して格好良さが
微塵も無くなっていたのは驚いた。
黒猫やあやせに対する
妄想及び変態的言動は
ハッキリ言って痛気持ち悪い。
しかし その"痛さ"こそが
今作品の持つ魅力で
痛い故に笑いが起こり
痛いからこそ愛らしいのだ。
変態らしさに磨きがかかり
前作から通して最も印象が変わった男である。
■結末について■
今作品の評価が割れる最大の要因は
何と言っても結末だろう。
観ていて引っ掛かりを覚えたのは
兄妹の近親恋愛に関して周囲が寛容な事。
言い換えれば誰も異を唱えないのだ。
そんな中 幼馴染みの立ち位置を守り
ずっと動かなかった人物が
最後の最後で立ちはだかる。
そう 地味子こと田村 麻奈実である。
彼女は今作品で
唯一"常識的な正しさ"を持っており
「誰も言わなかったみたいだから私がはっきり言ってあげる
兄妹で恋人になるなんて気持ち悪いと思うよ
普通じゃないと思う 異常だと思う
たくさんの人が気持ち悪いって感じると思う」
実の血が繋がった兄妹の恋愛は有り得ないと
今までの彼女からは
想像出来ない言動と行動を見せる。
確かに彼女の言ってる事はもっともで正論だ。
真剣に京介を好いているからこそ
暴力など振るわない大人しい麻奈美を豹変させた。
なので彼女の言葉は痛い程突き刺さるのだ。
ヒロイン達の想いを受け止めはせず
桐乃への想いを貫き通し気持ちを伝える京介。
二人だけの結婚式を最終回で挙げ
口づけを交わすまでやりきったのだから
「期間限定の恋人」と抜け道を作るより
許されない恋のまま
最後までいっその事貫いて欲しかったものである。
■あとがき■
観終わって率直な感想は
合わなかったと評するより
素直に楽しめなかったのが本音。
細かく言うと全16話の内
TV版の第13話までなら面白かったが
ネット配信分の残り3話で
急降下していったかな。
確かに笑える部分もあるのだけれど
落とし所を納得出来たかとは別問題で
結末が腑に落ちず
どこか引っ掛かったままなんだよね。
あくまで妹として好きな兄と
兄を慕う妹の間柄だから応援出来たけれど
異性として恋愛感情を抱いてしまうと
正直 一歩引いてしまったよ。
それだけに麻奈美が
「兄妹で恋人になるのは気持ち悪い」と
ハッキリ口にする場面は
観ている側の気持ちを代弁してくれている様で
非常に重みを感じる一言だった。
厳しめに書いてはいるが
『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』は
他のライトノベル作品と比べて
オリジナルを強く感じさせる作品だ。
賛否両論が生まれる作品は
少なからず観る側の記憶に
大きなインパクトを残してくれるのだから。
1期が楽しめただけに
2期は落差を感じる作品でした。
満足度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆ (3)