Lovin さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
観た感じ
■概要{netabare}
原作:曽田正人(月刊少年マガジン)
監督:三沢伸
シリーズ構成:上代務
キャラクタデザイン:興村忠美
制作:スタジオコメット
OP1:「Never Ever」
by 今井翼
OP1:「導火線」
by BAZRA
ED1:「僕ら」
by BAZRA
ED2:「ナナナビゲーション」
by 星井七瀬
ED3:「Here we go!」
by ミサイルイノベーション
ED4:「My Star」
by 菊地美香
{/netabare}
■感想
原作漫画は未読でレンタルDVDを視聴。
母親のいない父子家庭で、家事全般を器用にこなし、父親の面倒さえ見てしまう息子。そんな姿に、息子の本当の気持ちを理解してやれない父親が、道路舗装の仕事で訪れたのはカートコース。いつもブロックの車で遊んでいる息子にとカートの値段を伺うも、その値段に驚愕する。しかしふとゴミの山を目にした父親は、せめてもの償いとして、仕事終わりにそのゴミを少しずつ組み立てていく。
息子の名前は勝平太、父親を含む周囲からはカペタと呼ばれている。この作品は、少年達の成長と共に変わっていく夢や熱い友情が詳細に描かれている。少年達というのは、カペタの幼馴染の茂波(もなみ)と、カペタを苛めていた信(のぶ)のことで、どんなに成長してもそれぞれの方法でカペタを応援していく。
原作者の別作品でヒットした「め組の大吾」が好きなら、息苦しい程の葛藤の末に成し遂げる大きな成功を描いたこの作品の良さが理解出来る筈だ。
序盤は父親と息子の親子愛もあるが、未体験のカートレースとの出会いが中心。だが幼少のカペタは、大吾がそうであったように、少し頭がおかしい。子供なので仕方がないが、土砂降りの中、エンジンがなくタイヤがツルツルのカートを坂の頂まで人力で運び一気に下る。当然コーナーは曲がりきれないが、その顔は満面の笑み。しかしカペタの凄い所は、コーナーの曲がり方一つから、全て実体験を元に学んでいることにある。このことは、その後の展開にも大きく影響している。
更にカート自体も前出のように、捨てられるパーツを組み合わせただけ、エンジンに至っては発電機を分解して取り付けた4ストエンジンで、一切の調整はない。そんなまともに走らないとまで言われた車体を如何に速く走らせるか、カペタが考えていたのはそれだけだった。初めて走ったコースで、持ち前の負けん気で、集会を重ねる毎にラップは上がり、その才能を開花させていく。
逆境を苦にせず、自らの経験を元に一歩一歩技術を磨いていく姿は、縁も縁もない視聴者にとっても連帯感を感じるし、身を削りながら走る鬼気迫る姿には、熱くならざるを得ない。描かれ方は非常に重いが、少年漫画が好きな方には躊躇することなくお奨めしたい作品である。
■蛇足{netabare}
OPで、カーナンバー27の赤いマシンにカペタが乗っている。
F1関係者のみならず、レースが好きな全ての者にとって憧れの27だ。
レギュレーションの関係で暫くは見られないが、
何れは伝説の27番が見られる日が来るかもしれない。
{/netabare}