「PSYCHO-PASS サイコパス2(TVアニメ動画)」

総合得点
84.8
感想・評価
2439
棚に入れた
13714
ランキング
273
★★★★☆ 3.8 (2439)
物語
3.8
作画
3.9
声優
3.9
音楽
3.9
キャラ
3.7

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ネタバレ

おぬごん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

エンターテインメントではあったが…(1期のネタバレあり)

「踊る大捜査線」の本広克行、「まどマギ」「Fate/Zero」でノリにノっていた虚淵玄、「家庭教師ヒットマンREBORN」の天野明と、異色の豪華スタッフで話題となったPSYCHO-PASS
9月まで放送され断片的に見ていた1期の「新編集版」や、2期の放送直前に行われた1期のニコ生一挙放送を見ていてもやはり非常に面白く、当然期待は膨らんでいた


…結論から言うと、面白かったが、何か違う、という感じだった
確かに毎回毎回次が気になるような盛り上がりを見せてくれたのだが、
それ以上に視聴中の違和感が上回ってしまった印象

こうした違和感の原因の一つは、1期にあった魅力が2期には欠けていたからだと思う

{netabare}
PSYCHO-PASS1期の魅力の一つは、魅力的なキャラクターだった
最初はいかにもな新人だったが、徐々に逞しく成長していく主人公の朱
朱の相棒にあたり、いかにも一匹狼の刑事といった感じの狡噛
そして名著の引用を多用し、全身を白で包んだ不気味な宿敵・槙島
それ以外のキャラも全員魅力的であり、だからこそPSYCHO-PASSは面白かった
むしろPSYCHO-PASS1期は、物語が大きく動いた直後の12話にわざわざ脇役である六合塚の過去回を挿入するほど、キャラの魅力を描くことに徹底していた

しかし、2期で新たに登場したキャラは、残念ながらどれもが魅力に欠けるものだった
特に1話から登場していた2期の宿敵・カムイがあまりに平凡で…
(これはカムイの秘密を考えれば仕方がないことなのかもしれないが…)
新たに登場した監視官、執行官ともに舞台装置以上の役割を見せていたとは思えず、
また1期からのキャラについても、主人公の朱と雑賀先生以外は良い所なし
特に1期でコンプレックスを払拭した宜野座はもっと活躍を見たかった…
まあ11話という話数では仕方なかったのかもしれないが…

キャラ面で良かった点といえば、皆が再登場を待っていた「あのキャラ」を安易に出さなかったことだが、それさえも、劇場版のために温存したとしか思えないし…


またPSYCHO-PASS1期の序盤は、個々のエピソードが単純な刑事物であった
これは他のアニメにはないノイタミナらしい魅力であったし、話の裏で宿敵・槙島を少しずつ絡ませたりキャラの魅力を描くことで、後の話に繋げ緩急を生みだす役割も持っていた
そして何より、作品の主軸を担うシビュラシステム、犯罪係数といった設定を「この世界ではこういう物だ」と視聴者に印象付けるために、ある程度の話数が必要だった
こうした印象的なシステムを「こういう物だ」と提示し、システム自体については深く触れずに、それにより動く「世界」側を描く手法は藤子不二雄的だ
また「シビュラシステム」の正体はサイボーグ009から続く定番でもあったし、多用される引用や最後の槙島との対決の舞台が麦畑だったことは、明らかに「攻殻機動隊SAC」を意識していた
こうした謂わば「定番」を上手く繋ぎ合わせ調理していたのがPSYCHO-PASS1期だった

ところが2期はこれらの要素が一気に失われ(話を書いているのが別人だから仕方ないが)、
ハリウッド映画のように盛り上がる場面、派手なシーン、グロが雑に連発されるようになった
もちろんそれらが機能しエンターテインメント作品としては成功していたと思うが、それらの要素がPSYCHO-PASSという作品の魅力であったかと言われると疑問である

また2期では作品内で「シビュラシステム」自体の問題について大きく踏み込んでいくことになる
…が、これは大きな失敗であった
2期のキーとなったサイコパスの測定方法だとかその穴だとかについて、視聴者は想像以上のことができない。だから、そもそも興味が無い。
逆に物語中でそうしたシステムの秘密を描いてもどうしても後出しじゃんけん的になってしまう
だから1期ではシステム自体について多くを描くことはなかったのだ
それなのに2期では、簡単に犯罪係数オーバー300になってしまう一般人や、シビュラに感知できない敵を登場させるものだから、違和感がありまくりだった
またシステム自体について踏み込んでしまうと、どうしても物語に粗が生まれる
「犯罪係数が測定できないならデコンポーザーで殺せよ」という元も子も無い感想がたくさん出ていたのが代表的だったし、またシビュラシステムの問題を描けば描くほど、簡単にハッキングできるホログラムやドロイドなど、シビュラ以外のシステムの粗も目立ってしまっていた
(こうしたその他のシステムに穴があるのは、シビュラシステムが犯罪行為を「思い付いた」時点で取り締まれる制度だからこそだが、そこまで描けていたかは疑問である)
{/netabare}

はっきり言って、1期のスタッフだって(視聴者だって)この作品の世界のシステムが完璧だなんてハナから思っていない
だからこそ、1期ではシステム自体には触れずにシステムの中で生きる人々を描いたのだ
そこに敢えて挑戦してしまった2期は、残念ながら粗の目立つ雑なエンターテインメントに成り下がってしまった感が否めなった

単純な動作の繰り返しから狂気が滲み出るようなOP、幻惑的な歌い出しで次回への引きを印象的にしていたEDはどちらも良かった

投稿 : 2014/12/19
閲覧 : 197
サンキュー:

12

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