青陽 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
Le conte qui résulte à la révolution française
事実は小説よりも奇なり。
史実も小説より奇なり。
つまり史実をもとにした小説は、それはそれは怪奇ということなり。
本作は史実をしっかりと考証したうえでファンタジー要素を取り入れており、極上のミステリーヒストリーとなっている。
例えば
イギリス王室で出てきたピョートルは無能に描かれていたが、調べると 彼のモデルであるピョートル3世は知的障害持ちの可能性があったようだ。即位してもすぐに王妃に取って変わられたのはそういう部分も影響していたのだろう。
主人公であるデオンも
本当の性別を巡って賭けが行われるほど中性的な人物だったようだ。そこから姉の魂が乗り移るというファンタジー設定に繋げたのはエンターテイメントとして秀逸。
ただただ年号追うより、こういう作品観たほうが世界史に興味が持てそうだよね。
あらすじ
ときは18世紀、最愛王ルイ15世統治下のフランス。
王家に誠実な忠誠心を持つ騎士デオン。
あるとき「nqm」王直属の秘密機局員である姉リアの死体が見つかった。ロシアから流されてきたそれは、錬金術によって腐敗しないように施されており、土に帰ることさえ許されない状態だった。デオンは自らも秘密局員となり、姉の死の真相を探ることに…。
もちろん 作中での台詞はフランス語ではなく日本語だが、宮廷で話されるような言葉遣い。
fate/zeroもそうだが
台詞が格式高い というか日常会話では使わない言葉が多いので、慣れるまでに少し時間がかかるかもしれない。
作画はリアル寄りでかなり自分好みのキャラデザだった。
肖像画とアニメーションらしいデザインのハーフとでも言うべきか。動かすうえで無理のない画線だが、美しさも損なわれていない。
また他のアニメだと
外人と日本人の区別がつかないキャラデザも多々見受けられるが、シュヴァリエでは同じ白人であっても国ごとによる違いがわかるように描き分けられていた。
フランスを発ち、舞台はロシア…イギリス……
そして再びフランスへ
各国で騎士が登場するが
王への忠誠、だけでは済まない複雑な事情をそれぞれが抱えている。
清らかな騎士道精神だけでは世界が回らなくなってきたのだ。
マクシミリオン
ロベスピエールらしい思考の持ち主
腐敗し、先細りになることが明らかな王や貴族は要らない。
王権制度の崩壊、新たな制度の設立こそが革命の目的
しかしダッシュウッドは
世界に革命を起こし、統合し世界政府を設立し、世界の絶対王になることが目的。世界は支配するモノとされるモノがいてこそ成り立つという考え方。
故に対立した。
テラゴリーが裏切者だった!?
無意味に戦争を繰り返し、国を疲弊させ同胞である騎士を死に追いやったルイ15世に疑問を抱いていた。
よくよく見ればEDもオルレアン公の後に出てくる。
あれはオルレアン公の配下であることを暗示していたのか…!
悲しい最期だったが結果的にデオン、オルレアン、ロビン3人とも救うことになり
熟練の老騎士としては見事な幕引きだったと思う。
新たな世界へ
古くからの騎士であるテラゴリーとデュランが死に、銃を持つロビンが生き残った。また
それしか方法が無かったとはいえ、埋葬が主流のフランスでリアを火葬したのは時代の変遷を予感させた。
英国の仏大使館に飾られていた絵は後のフランス革命を示しているように見えたし。
王の策略
王家の書の内容は未来を示すもの。15世はフランス王家を滅ぼすと告示されたため、その未来を回避するべく別の赤んぼうと取り替えられた。ルイ15世は王家の血筋を引いていなかったのだ。
自分が王家の人間でないことを秘匿するためにリアは消された。
死を願うルイ15世、だがとどめを刺されることはなく
最終的にルイ15世の生死は不明。
マリー・アントワネットやダントンが見られなかったのは残念だが、ストーリー的には仕方あるまい。
ちなみにタイトルはエキサイトな感じの翻訳家に依頼したものなので間違ってるかも。フランス語堪能な方、ミスがあったら指摘お願いします。