ひな@ さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
愛に価値を見出している。それは人間だけの特権
小さい頃にあたしの家では金魚を2匹飼っていたんですけど
家族で旅行に行くときに親が何もしないでそのままにしていたせいか
帰って来た時にその2匹の金魚は体を上にしながらただ漂っていたんです。
金魚の処理は親がゴミ袋に包んで捨ててました。
良いことなのか悪い事なのかは分かりません。
誰が金魚を飼おうと言い出したのか
誰が主に金魚を世話していたのか
誰が愛情をその金魚に注いでいたのか
それらについては今でもよく分かりませんし
特に知りたいとも思いません。
本当に本当に小さい時の出来事なんでうろ覚えな所もあるんですけど
たぶんあたしが一番最初に実感した生き物の死だと思います。
そういう意味で強烈に印象に残っている記憶なんです。
実は今我が家では犬を飼っているんですけど
あたしはその犬を<家族>として見る事が出来ません。
特に嫌いとかそういうわけじゃなくて
人間とは違うんだなとか
本能のままの行動とか見ると
やっぱり犬だもんなとか
色々理由はあるんですけど…
でもつまるところそういう気持ちになっちゃうってのは
金魚における体験が、動物は何処までいっても動物なんじゃないかなと
今でも心に深く刻まれているのが大きいんだと思います。
だから動物同士の愛情も個人的にはたかが知れていると思うんです。
本能のままに生きて子孫を残す為に交尾を行い本能のままに死んじゃう。
中には人間の都合で飼われることでまったく違った生き方もありますけど。
それが大部分の動物の遺伝子に刻まれた生き様なんじゃないかなと
あたし個人の考えとしてはそうなんですよね。
でも人間はその自然の摂理に抗って本能としての行動・感情に価値を見出した、生物学の分類上は動物であったとしてもやっぱり特別だと思うんです。
例えば食欲であれどそこは食べればいいやという所で終わるのではなくて
より美味しい食事を求めて品質改良したり調理や保存方法を工夫したり。
食に関する人間の追求は今でも留まる事を知らないと思います。
睡眠だってどこでも寝れればいいという訳でもないですよね。
自分に合った枕、布団にこだわる人、ベッドにこだわる人
うつぶせ、あおむけ、右横向き、左横向きに寝るのか…
人間の睡眠においてもテレビで実験がたまに放送されているように
これを題材とした人間の更なる追求はあると思うんです。
最後の性欲もそうですよね。動物の本能に従えば子孫を残すならそこまで拘りがなくてもいいのに。でも人間はやっぱり違う。この人じゃなきゃなんかダメだな。特に好きな理由を具体的に挙げられるわけじゃないけど…なんか
性欲というと書き方が何となく下品なので恋愛という言葉に置き換えちゃいますけど…人にはそれぞれ<恋愛>においてのこだわりがありますよね。全く同じような恋愛感を持ってる人はいないはずです。
でも食事や睡眠と違ってこういう恋愛感情は何となく私達人間の中で全く特別な扱いをされているように思います。流行の歌詞の中に出てきたり、愛をテーマにした映画やドラマがそれこそ昔から沢山制作されていますよね。
それだけ恋愛は人間の中では最も価値のあるものとして見出されているんじゃないかなって、言い過ぎかもしれないけどそう思うんです。
食べる、寝るは条件を選ばなければ動物でも出来る。
でも恋愛は…特に本能に拠らない高尚な意味合いでの恋愛は
人間だけに許された特権なんじゃないでしょうか。
前置きが長くなっちゃいましたけど、あたしが恋愛の価値について
書きたかったのには理由があります。
このアニメからは恋愛に価値を置くが故に揺れ動いて
悩みを抱えるキャラクター達の心の葛藤を今までになく感じたんです。
アニメを見てきたあたしの中では本当に感じたことのないとても切ない感覚でした。自分が雪菜になったみたい、と思えばかずさになったりしている…
2人はまるでタイプが違うけど、でも1人の男性を心の底から愛しているという意味では共通しています。
このアニメを見ている中で人を愛することの大切さと苦しみをメインヒロインの2人はお話が進むに連れて味わっていく事になるので同じ女性として共感できる部分があったせいで強い影響を受けてしまったのかもしれません。
人を愛することを知らなかったヒロインと
人を愛することを恐れていたヒロインと
そんな2人に恋愛としての重さを理由に答えを出せない主人公
{netabare} 価値があるからこそ最後の最後にその2人は恋愛感情を
なかったことに出来なかった{/netabare}
その三者三様の恋愛関係を甘く切なく青春という風に乗せて描いたアニメです。恋愛に価値が見出せない。そんな人こそオススメしたい作品です。