woa さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
無くしたものを見つけに
2013年放送。全13話。
原作はKEY制作のエロゲである。内容はリトバスの結成時の状況を反復するというもの。
この作品のテーマは閉ざされた世界(エロゲ)で人は成長できるのか、というものである。要するに人間が自分で変わろうと思ったら変われないということが問題なのである。確かに個人にできることにはかなり限界があるが、来ヶ谷さんが言うように、鈴にしかできないこともあるはずなのだ。
そしてリトルバスターズは主人公とヒロインが変わるための「場所」を作った脇役たちの物語でもある。
最初、リトバスは棗恭介と妹の鈴の二人が変わるための場所だった。それを今度は直江理樹とヒロインの鈴の場として恭介が主導してメンバーそれぞれの役割を演出するのである。
解釈において原作とアニメではおそらく大きな違いがあり、自分は原作のEDの両義的な解釈(鈴と理樹にとって救いである妄想は現実には救いがない)の方がこの難しい問題への暫定的な解答としては相応しいと思う。
アニメのEDはそれをより肯定的に解釈したものだと考えても良いだろう。しかしこの肯定的な解釈では恭介や来ヶ谷の目測(鈴と理樹は弱い)が間違っていたということになるが、自分は彼らの判断は原作のEDでは正しかったと思うのだ。鈴と理樹はその弱さゆえにリトバスと決別できないのである。
理樹と鈴はリトバスがない世界ではどう考えても救われないのであるが、来ヶ谷さんが言うように、その救われない現実を受け入れるべきだったのだ。アニメのように綺麗に終わらせる必要が無かった、感動ストーリーを超えた「泣きゲー」として成立したリトバスは本当に奇跡的な作品だと思う。
評判の悪いアニメ版だが、良い演出もある。12話で各ヒロインと正ヒロインである鈴が日常のやり取りのなかで色々な相矛盾したメッセージを受け取るというシーンだ。結局、空想の存在である彼女たちは鈴に何も指針のようなものを与えてくれないのであるが。リトバスの世界が消えていく中で、ラフ画と化し背景に溶け込むようにして鈴と対峙する選ばれなかったヒロインたちは消えるしかない。このような演出はアニメにしかできないだろう。