「涼宮ハルヒの憂鬱 第2期(TVアニメ動画)」

総合得点
86.8
感想・評価
3795
棚に入れた
19188
ランキング
185
★★★★☆ 3.9 (3795)
物語
3.6
作画
4.0
声優
4.1
音楽
3.9
キャラ
4.1

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woa さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

エンドレスエイトの意味

2009年放送。全28話(2006年放送分に新たに14話付け加えたもの)

周囲から浮いてしまっていることで「痛い自分」をあえて演出するヒロインの様々な妄想遊びに主人公が付き合うという話。

ハルヒの言いたいことはつまりこうだ。自分がハブられているのは、超常現象が好きという特殊な趣味や強烈な性格のせいなのであって、自分に魅力が無かったり他人の気持ちがわからないという欠陥があるせいではない、と。

他人に好かれたり好いたりすることで他人の輪の入ろうと努力して失敗するよりも初めから一人で自己完結していたほうが良い、と奇矯な振る舞いをあえて行うことで自他に言い訳をしているのだ。

しかし本当に自己完結したいのであれば、高校など行かずに無人島で自給自足の生活をすればよい。学校とは社会の縮図なのだから、そこに在籍してしまっているハルヒのこの言い分は単に言い訳にしか聞こえないし、現実逃避にすぎないのである。

実際、最終話で自ら言っているように、ヒロインは主人公と再び出会うことで得た日常こそが真に欲しいものであって、それ以後非日常は日常が単調なものにならないスパイスみたいなものなのである。長門や小泉などといった超常的存在は、ボーカルであるハルヒを引き立てるバックバンドだとか演者であるハルヒを画面に映えさせる照明係に過ぎない。

ハルヒの創造者としての力は、主人公や主人公との出会い与えたものであるが、これはハルヒ自身がキョン=作者の想像上の産物であるからである。

これを示すエピソードがエンドレスエイトなのだ。

内容については詳細はネタバレになるので省くが、要するにエンドレスエイトの無限螺旋を抜け出すためのカギとなるのは、「ハルヒが何をしたいか」ではなく「キョンが何をしてこなかったか」なのだ。キョンの行動をハルヒが解釈した結果として超常現象が起きていたのである。

小泉などの脇役はハルヒに影響力を行使する手段としてキョンを利用するのであるが、キョンはハルヒを通して小泉らの属する社会全体に影響を及ぼしているのである。この誤解にこそ小泉・長門とハルヒの間の越えられない壁が存在するのだ。

ハルヒが神なのだとすれば、神というのは人間の自己投影の産物であるから、キョンがハルヒを創造したということになる。

涼宮ハルヒの憂鬱というのはつまりキョンの一人遊びのことなのだ。一人遊びというのはどこまで行っても何も生み出さないものである。

だから、キョンの想像上の産物・二次元嫁であるハルヒはキョンのこういう内向的な性質に対して憂鬱になり、自分と同じ超常的存在である長門や小泉や他の人間がいる世界を創造したのだろう。

しかしこれもまたハルヒがキョンの創造物である以上、一人遊びであることには変わりがないのだ。

投稿 : 2014/11/30
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