どらむろ さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
盲目主人公と村八分ヒロインのラブコメ。イジメ鬱展開あるも、美しいストーリー
恋愛ゲーム原作のハーレムラブコメ。少しファンタジー要素あり。
恋愛ゲーム(18禁、いわゆるエロゲー)原作だが、過剰なエロスは控え目。
盲目の主人公が療養の為に住む事になった田舎で、三人の美少女(タイトルのH2Oはヒロインの頭文字らしい)、特に村人から忌み嫌われているメインヒロインの小日向はやみと交流していく。
田舎の闇の部分を全面に出した村八分イジメ展開が苛烈で、その手の鬱展開が苦手な人にはオススメできず。
薄幸ヒロイン・小日向はやみの可愛さ、ややツッコミ所はあれど美しいストーリー、OP「イカロスの翼」が心にグッと迫る名曲など、私的に特筆に値する恋愛アニメでありました。
{netabare}『物語』
主人公が盲目故にか弱く、受け身の形で美少女ハーレム(さほど露骨ではないが)展開に。
田舎(現実のではなく、あくまでファンタジーのだが)特有の牧歌的な雰囲気からの美少女たちとの交流は中々に萌える。
…と思いきや。
本作の真骨頂は田舎の闇の部分!
メインヒロインのはやみちゃんは村人から忌み嫌われていて(詳しい理由は追々分かる、無論彼女は悪く無い)かなりガチで苛烈なイジメ(の範疇を逸脱した迫害)を受けるのだった…。
特に廃墟同然の住居までも焼き討ちされるというシャレにならん迫害展開は恐ろしい。
なんたるムラハチか!コワイ!
こんな境遇では、はやみちゃん心を閉ざすのも当然ですよねぇ…。
はやみちゃんの薄幸っぷりはアニメヒロインの中でも群を抜いており、ド貧乏・迫害で虐げられる境遇が痛々しい。
…が、そこが萌え所なので♪
そんな薄幸ヒロインの凍った心を、主人公の弘瀬琢磨の優しさが溶かしていく展開が本作の萌えどころであろうか。
村八分展開が苛烈ではあるのだが、他のヒロイン達が基本的に良い子達で、過去の恨みや因習由来の差別等の壁を乗り越えて和解していくので、救いはあるストーリーな印象も。
高飛車ツインテールで典型的なイジメっ子キャラのゆいが、はやみを恨む理由(親世代の問題で逆恨みとはいえ、気持ちは分かる)それでも和解して友達になっていけたシナリオに、ホッとした。
本作はイジメの鬱展開というイメージ強いかもだが、ちゃんと観ていくと救済もあるので(やや展開の速めな御都合主義ではあるも)、意外にそこまで陰鬱な作品でも無いのでは…。
最終的にハッピーエンド、若い世代(主人公とヒロインズ)は因習壊して和解する、希望のある物語。
主人公の盲目は序盤で治った(と思われた)ので、盲目主人公ならではのラブコメ的にはやや勿体ない気もする。
それでも主人公の存在が、はやみをイジめる因習を少しずつ変えるきっかけになっていくのは良いと思った。
精霊云々は、正直どういう意味かちょっと分からない。
まあ、本作はファンタジーなんだろうなぁ…という認識です。
衝撃的な最終回は賛否両論分かれる模様ですが、個人的にはハッピーエンドで良かったと思います。
ストーリーは終盤に急転直下。
最終回の途中までは悲劇過ぎて気が気じゃ無かった…!
主人公が途中から盲目治った…というのは妄想で実は見えていなかった云々辺りから非常に鬱展開の予感がしていたが…
終わり良ければすべてよし!
…本作は、脚本の整合性等を重視する真面目な視聴者からは評価厳しいのかも?
私のような「細けぇ事はいいんだよ!」な不真面目な視聴者的には、十分満足でした。
御都合主義気味な点も、むしろ強引に進めたからこそ、鬱展開が酷くなり過ぎずに、適度に美しいラブコメディーになっているのだと好意的に評価。
実感としては4.5点あげても良い位に好きなアニメです。
減点したのは、精霊とかラストの展開とか、いくつか軽く疑問が拭えぬ点を考慮しました。
『作画』
2008年度のエロゲ原作アニメとして、十分以上に良いのでは。
黒髪薄幸美少女のはやみちゃんは非常に可愛く他ヒロインズも水準以上。
舞台の田舎町の風景描写も中々に美しい。
水車や水回りの描写に拘りを感じる。
はやみの住んでいる廃墟シーン辺りは、惹かれるモノを感じた。
…はやみちゃんへの暴行描写がかなりガチで、現実だと美少女がボコボコにされてた所を、あまり顔傷付いて無いのは、英断だった。
『声優』
主人公の弘瀬琢磨は小清水亜美さん、女性声優だけに中性的な美少年な印象だった。
メインヒロイン・小日向はやみ役の櫻井浩美さんが非常に好演、迫害故に心を閉ざした美少女のイメージばっちりだった。
Angel Beats!のゆりっぺの方が有名かもだが、私的には櫻井さんといえば小日向はやみです!
ゆりっぺよりも、はやみちゃんのが好きなのでw
『音楽』
榊原ゆいさん歌うOP「片翼のイカロス」が主題完璧に捉えつつ非常にあざとく泣かせに来る名曲。
本編のストーリーにベストマッチしており、かつ強く心に訴えかけるような、美しい曲だった。
最後まで視聴すると、この曲でブワっと涙腺崩壊します…!
2008年度のアニソンは良曲揃いだが「片翼のイカロス」は傑出している。
またED「カザハネ」も良曲、作中BGMもかなり良い。
…何故だろう、エロゲー原作アニメの主題歌は妙に名曲多い気がします。
主題のシンクロ率が高くて、あざとく素直に想いを伝えてくるからかな?
『キャラ』
本作の魅力は、何と言っても薄幸被迫害ヒロイン・小日向はやみちゃんの可愛さに尽きる!
黒髪ロングで心を閉ざしたツンツンヒロインというだけでも好みドストライクなのだが、更に田舎の謂れ無き差別と迫害で虐げられる薄幸っぷり!
廃墟同然の住まい、かぷめんですら御馳走と目を輝かす薄幸さが痛々しくも、可愛い。
ここから主人公・弘瀬琢磨の優しさと行動力で、少しずつ状況が好転、次第にデレていく過程が非常に可愛い。
主人公は受け身で弱々しい印象だが、田舎の狂った因習に立ち向かってはやみを救える程度にはナイスガイであった。
本作は専らはやみメインだが、他ヒロインズも粒揃いの美少女多し。
はまじちゃん元気で可愛い…と思いきや、男の娘かよ!?かわいいけど!
サブヒロインの神楽ひなたもかなり可愛く、メイン張って良いキャラであったが相手が悪かったか。
エロゲ作品のヒロインって、妙に重い過去背負っている娘多いなぁ…。
途中で消えた精霊ちゃんも結構可愛かったです。
本作のキャラクター面で良いと思うのは、主要キャラが基本皆良い子達である事。
途中までははやみをイジめてたヒロインにも止むを得ぬ理由があり、その上でちゃんと克服して友情を取り戻しているので、どのヒロインにも嫌味を感じずに済んでいる。
(少なくともヒロイン勢には)悪役が居ないのも、本作が意外に鬱では無い物語になっている要因なのでは。{/netabare}