woa さんの感想・評価
2.0
物語 : 2.0
作画 : 2.0
声優 : 2.0
音楽 : 2.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
序盤は秀逸なだけに・・・
日常と非日常の逆転を描いた作品。ロボットアニメにおいて日常におけるヒロインや彼女や親友たちとのコミュニケーションはすべて非日常的戦いの動機であり虚構に過ぎないという酷薄な現実を主人公に突きつける。
つまるところ主人公もヒロインもアニメのキャラクターに過ぎない、ということだろう。
(この問題意識はカミナギが非日常の世界に来ることで崩壊する。カミナギはあくまで日常サイドの存在、主人公の願望であるべきだったのである。)
確かに中盤以降はダレるし、終盤の禅的な世界観がありながら、自分たち=正義、敵=悪という二元論は正直ついていけない気がする。戦闘シーンのぎこちないCGと心理描写の生々しさのギャップは当初から指摘されていたことではある。
そもそも序盤で問題にしていたのは、対立図式の基盤である現実認識そのものだった。この対立図式への問題提起をも一回リセットしてやり直してしまうとした時点でこの作品の問題は終わったのだろう。あとは作業的に「敵」を駆除するだけである。(敵は内面だとか動機などは捨て去った存在として描写される)
これほど絶望的な世界観の中で主人公が生身の身体を持ち、ヒロインとともにアダムとイヴとなるという最期はあまりに楽観的すぎるし、単純すぎる。
他の登場人物たちはどこにいってしまったのか?主人公を非日常へ連れ込んだもう一人のヒロイン、静乃先輩の立場が無いのだ。
(静乃は序盤に集中的な心理描写がなされている分まだマシである。一番不憫なのは副官だろう。初期のOPで彼女が蝶に変化する描写から見るに元々は重要な役割を担っていたのだろう)
舞台が舞台だけに、OPやEDのゼーガペインが天に昇っていく描写の静けさや電子音楽的な繊細さはゼーガペインというロボットが、重化学工業の比喩ではなく情報工学の延長であることに起因するのだろう。
自動車であるとか電車のような距離感覚を表す指標が無い(このエピソードは重要である)ため、サーバ内に都市空間があったり、パイロットやロボット自体を転送することが出来るのである。