woa さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
働くとはどういう事か
面白いと思うのは、魔族である主人公たちにとって働くことの意味が働いている間に変わったということだろう。
勇者であるヒロインから逃れる主人公が辿り着いた先の現代社会で、とりあえず彼は異世界に戻るための魔力を蓄えるために、生活をしなければしなければならないのである。つまり当初は一時しのぎの仕事としてマグロナルドのアルバイトを始めたと思われる。
しかし、仕事に慣れるにつれ職場での人間関係も出来始め、最終的に職場の同僚や上司の全面的な信頼を得ることが分かると彼の仕事や現代社会、ひいては人間観も変わり始めるのだ。
異世界における魔王も現実ではフリーターであり、配下の堕天使たちは主夫だったりニートだったりと散々な扱いなのだが、その中にも日々の楽しみを見つけて生活している様は現実逃避としてのファンタジーへのアンチテーゼのようである。
派遣社員のヒロインはその魔王たちの「働く」姿を見て、異世界で暴虐の限りを尽くした魔王と現代社会で真っ当に働く魔王のどちらが本当の魔王なのかを決めかねている。
おそらく魔王自身も言っているように、どちらともいえないのが答えなのかもしれない。ヒロインが懸念しているように、今は改心しているように見える魔王も状況が変われば、またその凶悪な本性を見せるかもしれないのだ。
ただ最終話で、雨の中ずぶ濡れになっていたヒロインが主人公の差し出した傘に入る。魔王も勇者も雨が降っているという事実自体は受け入れるしかないのである。そして今は傘を共有するのが一番良いのだ。
このような「残念さ」というのが、このアニメの空気感だろう。