koaki さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
人を知らぬ男と心を失くした女の理不尽で哀しい刀集めの物語
刀を使わない剣術「虚刀流」の七代目当主である鑢七花は、
姉の七実とともに不承島で暮らしていた。
しかし、奇策士とがめの言葉により、伝説の刀鍛冶
「四季崎記紀」の作った刀、完成形変体刀十二本を
集めるため旅に出ることになる。
「刀を使わない剣士」と、それぞれある1つの能力に特化した12本の
「変体刀」と呼ばれる刀を持った者たちの戦いを描く。
原作:西尾維新さん。未体験の作家さんです。
メフィスト賞受賞作家なのでチェックはしていました。
言葉遊びが面白いと聞いていたのですが、小説はシリーズ物が多く
読むのが遅いので手を出せないでいたのですが、本作のあらすじと
絵が気になって言葉遊びを観たくなりました。
絵は単調でマンガ日本昔話を観ているよう。
島流しにあった父親と共に島に隔離されていた七花の乏しい感情を
表現するには、ちょどいいのかもしれない。
奇策士の口から溢れ出る言葉は、急な坂道を転げ落ちる玉砂利のようで
変体刀収集のストーリーをなぞりながら会話劇を楽しむ。
戦いとは言っても、そのシーンにかけられる時間はかなり短く単調。
それでもシリアスな場面も笑いの場面も心が揺れる様も
言葉のやりとりで理解させる。多くを語るのではなく
単調な会話でも伝わることがあるのだと知る。
だから華美な装飾は不要。
面白い。
これは観る相手を選ぶ作品かもしれない。
完璧なハッピーエンドを望んでいる人にはお勧めできない。
12本の刀語。結末までも理不尽で哀しい物語