くし さんの感想・評価
3.1
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
頑張らなくては!
一人で逃げるな 一人になるな。
奴は逃げてばかりいた。いつも一人になろうとした。
背景は昭和の中場だが、この時代はこんなに卑屈ではない。根底に有る感覚は現代に近い様子。
昭和中場は現代の様な過酷ないじめは見掛けなかった。回り全員が全ていじめに回る事は無い。数人がいじめにまわったとしても、数人の友はいたはずだ。
現代の人の心理を描いているよう思える。
この作品の意図は…
格差はもちろんある。しかし、底辺の人たちは諦めない、あの時代は希望もあり、現代より人との絆も深い。だから頑張れる。だから今の様な繁栄に繋がったのだと感じる。私もあの主人公に近い環境で育ってきた、彼のように見た目ではなく、根本的に過酷な物を背負ってきた。他にもよく似た環境で生活している人を沢山みてきた。しかし彼らは今では立派な姿に変貌している。
この作品は背景は昭和の中盤に設定しているが、人の心は現代そのものではないかと感じる。
海は汚れようとも、空は灰色のスモッグで覆い尽くされようとも、人は戦い、努力し、それにひるまず立ち向かってきたからこそ、今があるんだ。
報復してはだめだ。悪意のある倍返しではだめだ。どんなにどん底にいようと、上をみないで今を頑張ればいつか何とかなるものだ。
上を見てもキリが無いし、下を見てもキリが無い。だから欲を出さずに今いる環境を精一杯生きれば少しずつ上がれるものだ。
人のいじめと平行に描写されている近代化への描写。それは何を意図しているのか。破壊される町。公害と騒音。巨大な力との紛争することになるのだが、一人で戦うのではなく、皆が一致団結して立ち向かう。
本筋のいじめは一人で戦う、ではなく、報復を描写しているところにこの作品の意図があるのではないか。
この作品の意図はきっとそれが言いたいのでは無いかと私は感じた。
頑張らなくては! とあらためて心に感じる作品でした。