woa さんの感想・評価
1.0
物語 : 1.0
作画 : 1.0
声優 : 1.0
音楽 : 1.0
キャラ : 1.0
状態:途中で断念した
ジブリの弊害
天空の城ラピュタの劣化したようなボーイミーツガールである。
性差や言語の違いは単に視界を反転させた程度の違いでは収まらないだろう。パテマの見ている景色が自分には分かると言っている主人公はただヒロインを象徴的にレイプしているに過ぎないのである。
例えばヒロインを気球替わりに使ったり、大地との軸索として利用している。イヴの時間でも思ったがこの監督のヒロインたちは生きた存在といえず、装置だと見た方が良いだろう。
主人公の空を飛ぶような昂揚感とヒロインの高所から落ちる恐怖感はまったく違うものであるから、地下人と地上人のそういう感性の違いを政治的な対立を通して描けばもっと良かったのではないだろうか。
空から落ちてくるヒロインは昔のジブリ的なテーマだが、ジブリ自体のブランド性を体現できているとは言い難い。ヒロインがアッカンベーをしたり、赤面して顔を隠すなどの描写はパテマが思い出補正で作られたアニメだということを表す。
結局反転する重力というのは逆の体位で抱き合ったり、キスしたりする描写のための設定なのではないだろうか。
そういうロマンスを描いてるつもりなのかもしれないが、傍から見るとヒロインの腰のあたりにしがみ付いて彼女の下腹部に顔を埋めている主人公は、いい年をした子供のようでみっともないのである。
お互いの父性を象徴する人物たちの同性愛的な妄想がヒロインと主人公の話のプロローグとしておかれているのは、一考の余地があるかもしれない。
しかしなぜジブリのオマージュはこのように大人を描くことが出来ないのだろうか。大人を描けないならば、子供を描くべきなのである。理想を語るのは人を説得し動員するためには必要であるが、個人的な手記には夢ではなく実際の利益であるとか権力を空を飛ぶ目的としてほしいものである。