kids さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「死」を奪われて「死」を感じる
ライトノベル原作のファンタジーです。独特の設定が際立つシリアスな展開が特徴でしょうか。
★設定について
この作品の重要な設定は、「死ぬことができず、また新しく子供も生まれてこない」ということです。死ぬことができないというのは、生物として死亡しても、生命活動を行うことなく活動できるということです。とはいっても体はしっかり腐敗していき、脳が腐っていくに連れて理性が失われていくという側面もあります。彼らは「死者」と呼ばれますが、彼らは墓守と呼ばれる人々(?)に埋められることで活動を停止しほんとうの意味で安らかな死を得ることができます。この作品は主人公であり墓守のアイが世界を救うために旅をするという物語です。
★ストーリーについて
物語は基本的に3話で完結します。どの物語も大切な人を想う気持ちや、死というものについて考えさせられました。人を想うが故の行動が必ずしもいい選択だとは思えないものであるかもしれません。死んでも動くことができるという世界で、ある人々は余計に生に執着し、ある人々は「死者」をあってはならない存在として排除しようとし、ある人々は「死者」となって生活することを選び・・・こんな世界では生きることの意義や素晴らしさ、死というものがそもそも何なのかぼやけてきてしまいます。でもそんな世界だからこそ、死について考えさせられる作品になったのではないかなと思います。
★最後に
正直言ってキャラクターに感情移入するのは難しいのではないかと思います。ですがこの作品の設定を味わうことができれば、この作品を観た意義は十分にあったと感じられるのではないでしょうか?
気持ちにゆとりがあるときに是非一度御覧ください。