「化物語(TVアニメ動画)」

総合得点
92.1
感想・評価
13403
棚に入れた
47508
ランキング
25
ネタバレ

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

楽しいは人それぞれ。

【概要】

アニメーション制作:シャフト
2009年7月3日 - 9月25日に放映された全15話のTVアニメ。
原作は、西尾維新による小説。
監督は、新房昭之。

【あらすじ】

主人公・阿良々木暦は高校3年生。彼は春休みの或る事件をきっかけに、
通常の人間ではありえない非日常の世界に足を踏み入れていた。
彼はまた、「怪異」に関わってしまった少女らとの仲を深めて、
その少女らを苦しめる恐ろしい「怪異」絡みの事件を解決していく。

初シリーズとなる今作では、阿良々木暦が、
戦場ヶ原ひたぎ・八九寺真宵・神原駿河・千石撫子・羽川翼ら少女との、
5つのエピソードが綴られているのだった。

【感想】

あにこれでは大人気の化物語。

今どきBDの売上だけで人気を計るのは時代錯誤ですが、
シリーズが安定して万単位で売れ続けるのはファン層が根付いている証。
かくいう自分も10年ぐらい前はファンのひとりだったような。

各ヒロインとのセクハラの混じったじゃれ合いコントと、
作画が本気を出す怪異との血みどろのバトルが喜ばれていて、
作品の面白さは原作者の西尾維新氏の言葉遊びなどの文章のセンスに依存していて、
これは、「アニメ化は不可能なもの」とのこと。

小説をアニメ化するにあたって文章を間引いたり、
地の文を映像に置き換えたりするのが普通ではあるのですが、
その普通のアニメ化の手順が原作小説のエッセンスを薄めてしまうのでしょうか?

そこで用いられたのが、アニメ演出家の尾石達也氏による「シャフト演出」
・実写を加工した静止画を唐突に貼り付ける。
・文字だけをバックに延々と喋り続ける。
・パロディではパロディ元に絵柄を合わせたカットを挿入する。
・「シャフ度」や目の極端なアップを用いる。

西尾維新氏の地の文で文章量がやたら多い台詞を声優の早口で流し続ける労力。
言葉が本体で絵はオマケ。
視聴する自分側から見れば一つ一つの出来事をアニメーションとして楽しむでなく、
口頭で説明が済まされるのが大部分であることから、単純に情報として消化し続けている感。

自分みたいにフルアニメを愛する人間から見たら、
これらは邪道もいいところで、え?ここ動かないの?口パクしないの?
「赤齣」「黒齣」「白齣」「青齣」「黄齣」と文字が書かれた単色の画像を、
ちょくちょく会話中に挟むのも全くの意味不明。おい、アニメーションはどこに行った?

学校を舞台にしても阿良々木、ひたぎ、翼以外は画面に一秒も姿を見せずにモブキャラが不在。
それは主人公以外が複数のヒロインたちの恋愛対象にならない美少女ゲームよりも歪であり、
阿良々木と美少女たちと忍野メメと怪異以外が一人も存在しないような世界(稀に例外あり)に、
シャフト演出とは、低予算の省力化をカッコつけてる技術なんじゃないかと思ってしまう疑惑。

かと思えば捻ったコンテは完成まで時間がかかるらしく、作画時間が犠牲になることもあり、
このアニメは一体何がやりたくてどこに向かっているのだろうと?

アニメは総合芸術であると信じる人がいて、芸術とは自由なもの。
他のアニメではなかなか見られない前衛芸術的な型破りな演出が、
刺激的で目新しいと始まった当時は肯定的に捉えられてたとは思います。
ただ、最初は目新しかったシャフト演出も繰り返せば、自分のように飽きて脱落する人もいますね。

話の内容は、俗悪、エロ、変態、こじらせ系向けのハーレムアニメ。
それが全てじゃないとは知りつつも。あれ?これって酷い話じゃないの?と思ってしまい、
そのシャフト演出を自分が好まないことからも、アニメそのものに自分は首を傾げてしまうのです。

それが漫画家の大暮維人氏が週刊少年マガジンで連載中のコミカライズ版の「化物語」が、
漫画家の緻密な作画でエロはより過激に暴力はより痛々しくてアニメより酷い内容になってるのに、
『それが楽しくて、もっとやれ!』と自分がなっている不思議さ。
漫画とアニメでは手順も手間も楽しみ方も違うと知りつつも、
化物語=シャフト演出の固定概念を覆す、
別のアプローチからの原作のいじり方があるという事実に感心しました。

原作をアニメにコンバートするのに他にどんな演出があったのか?
といえば具体的な話はできませんが、
自分がこのアニメに関して好まないのは俗悪でもハーレムでもなくて、
「シャフト演出」が誤魔化しの技法に見えてしまうという一点。
その、本当に面白い大暮維人版で再アニメ化してくれないかな?と思ったりもして、
評価や人気とは別に自分の趣味・嗜好は変動するものであって、
過去に好きだったものがそうでなくなるという例。
それが、このアニメ作品でした。


各話の感想やキャラクターについて一切書いていませんが、これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2021/11/15
閲覧 : 447
サンキュー:

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