オキシドール大魔神 さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
私は好きだよ、新一
割と評価が低い今作だが、もっと評価されていい。まず、事件のトリックが面白い。女性の心理や被害者の癖を利用した毒殺トリックは見事。コナンをして『賢い』と言わせるレベルだけある。気圧の関係による耳詰まりを、鼻をつまんで息を吐くことで解消、という事件解決のヒントを自然な形で提示できているのもさすが。前半の、コナンvsキッドも良かった。トランプ銃回避によりバランスを崩したふりをして、ビルからわざと落ちてキッドをおびき出し麻酔銃を放つコナン、その直後のハンググライディングとパラセーリングによる追いかけっこ、最後にはキッドに出し抜かれるコナンの、一進一退の攻防は良かった。原作だとキッドは割と痛い目を見る事が多いが(たとえば、コナンのせいで海を泳いで逃げる羽目になり風邪をひくとか)、今回は割と鮮やかにコナンを出し抜いたので、それも新鮮だった。また、一難去ってまた一難のコナン映画お約束の構成もよくできていた。飛行機のパイロットが毒にやられたところで、コナンとキッドが飛行機を操縦する。着陸寸前で落雷が機体に直撃、突風にやられて管制塔に激突しエンジンの一つが大破、著しい燃料漏れが明らかになり、炎上している空港には着陸不可、どこか別の場所に着陸しなければならず……という一連の展開からの、キッドのパトカー誘導による疑似滑走路に着陸は熱かった。このように、キッドの活躍が多いのも個人的に好き。言っても世紀末の魔術師は、暗躍していた事が最後に明らかになる、コナンが蘭に正体をばらしかけたところで新一に変装して登場するなど、事実上は活躍しているが、いまいちそれが実感しにくい。比べて今作は、『こいつはキッド』と分かった上で活躍するし、擬似的滑走路づくりの時は完璧にキッドの姿になっていたので、キッドの活躍が十分に実感できる。何より一番良いと思うのは、蘭が流れで新一に告白するシーンがある事。このように見所はあるし、シナリオも(コナン映画として)高レベルなので、もっと評価されていい。