「School Days-スクールデイズ(TVアニメ動画)」

総合得点
80.9
感想・評価
3081
棚に入れた
14113
ランキング
434
★★★★☆ 3.4 (3081)
物語
3.5
作画
3.3
声優
3.4
音楽
3.4
キャラ
3.4

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woa さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

言葉と世界に二分される主人公

ネタ的に下種な主人公やヤンデレヒロインばかりに焦点があてられるが、完全に卑劣な人間だったらあそこまでヒロインたちに好かれないだろうし、ヤンデレに一目ぼれするような主人公ではないのである。いくつもの分岐の結果としてああなったとしか言えない。

最終的に主人公が犯した致命的過ちによって視聴者はどのような思考回路を持っても彼に同感できなくなるしヒロインたちも自らの行いを改め離反するのである。それまでは男性視聴者の嫉妬と嫌悪を一身に受けているが故に受難者めいた欲望に分裂した主人公のある種神々しい姿に彼女たちは女性キャラとして抑圧された自分自身を重ねる。ヒロインたちは伊藤誠という名の自己破壊衝動に身を任せるのである。また彼女たちが主人公に惹かれた理由としては経済的な問題、競合原理が挙げられるだろう。希少性があるものはその希少性だけでも所有しようとする動機になるのである。それらの結果彼らはまた破滅するのであるがこれはBADENDなのか、そうであるとすればどのようにBADなのかを考えてみたい。

まず登場人物の名前がとても抽象的なことが挙げられる。誠であるとか世界であるとか言葉であるとか、一種の教理問答めいたコミュニケーションが学校生活を舞台に恋愛という形で展開するのである。であるから単に主人公やヒロインの心情を追うだけでは理解できないと思われる。単純にあのような悲惨なBADENDを導くことは抽象的な必然性がなければ叶わなかっただろう。やはり主人公は言葉(言語)を通じて世界の過酷さを知らなければならないのである。

自分とっては現実のあらゆる可能性から弾かれた主人公が最後言葉に抱かれて船出するシーンには残虐性と幸福が裏合わせになった滅びであると如実に感じられるし、これからずっと一緒ですという言葉の狂った頭で、この時知覚できる最大限のエンドルフィンが出ているだろうことを考えるとまさにこれ以外にほかの終わり方は無いと思われるのである。

よく考えてみれば誠が言葉に惚れたのは普通の彼女がいる学生生活に憧れていたからだったとすれば、これは確かに主人公にとってはBADEND、災難、分岐の失敗である。ただ一目見た瞬間にはもうすでに「正常」ではなかった言葉がどういうENDを望んでいたかはわからない。分かってしまった時点終わってしまう問題でもありフェリーに乗り込んだ時の言葉と電車で通学していた言葉の分節点がどこにあるかわからない以上、フェリーの言葉の幸せだという言葉をそのまま受け取るしかない。

つまり主人公視点にたって考えるならBADENDだったとしても頭がおかしい、誠とは違い初めから世界からはじき出されてしまっていた存在である言葉にとってはこれはTRUEENDだったのではないだろうか?誠が物言わぬ存在へと変わり果てたことでようやく言葉は自分の愛する人間と一緒になり、同じ地点に立てたのだから。表情を見ればはっきり分かる通りに、最後の瞬間言葉は幸せだったのではないかと自分は思うのである。幸福感=自己充足感はおそらく言葉の人生に決定的に足りなかった要素でそれが欠けていたからこそ最後まで誠を好きでいられたのだろう。

なぜ言葉のような人間があそこまで虐められなければならなかったのか等、やり切れない思いが残らないといえば嘘になるが、このアニメの終わり方やストーリーについて、変に悲壮漢振ったり非難したりするのではなく、二人のこの船出を応援するのが正しいと思う。ましてやすぐに海上保安庁か警察に捕縛されるだろうなどというのはあまりに空気が読めない無教養さを露見させるような突っ込みなのである。

投稿 : 2014/11/21
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サンキュー:

5

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