「R.O.D THE TV[リードオアダイ](TVアニメ動画)」

総合得点
70.7
感想・評価
376
棚に入れた
1983
ランキング
1530
★★★★☆ 3.8 (376)
物語
3.8
作画
3.8
声優
3.8
音楽
3.9
キャラ
3.9

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ネタバレ

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

紙使いで中学生。

アニメーション制作:J.C.STAFF
2003年9月 - 2004年3月に放映された全26話のTVアニメ。
原作は倉田英之によるラノベですが、小説版とは異なる展開を辿っていて、
OVA『R.O.D -READ OR DIE-』の結末を受け継いだ続編となっています。

【概要】

世界を危機に陥れた“偉人事件”(OVA版)を、
大英図書館特殊工作部の幹部であるジョーカー氏の指揮の下、
読子・リードマンたちの活躍で解決してから5年後の世界。

菫川ねねね・22歳。
世界的ベストセラー「真夜中の解放区」を代表作として、
天才美少女高校生作家として名を馳せていましたが、
4年前の18歳当時に大切な人が行方不明になったことにより、
小説を書けなくなってしまいました。
仕事をしていないものの印税収入で生活が保障された状態ですね。

世間からは、“あの人は今?”状態だった彼女ですが、
前述の代表作が香港で映画化することになり、現地での記者会見とサイン会に出向くことになります。

元から、熱狂的なファンやストーカーなどに狙われやすかったらしく、
担当編集者であるリーさんの手配により、
香港滞在中の現地ガイド兼ボディガードとして三人の女性がつけられます。

“三姉妹探偵社”がTV版の主人公。

おおらかな金髪美人の長女、ミシェール・チャン。24歳。
ダウナー系のノッポな次女、マギー・ムイ。19歳。
そして身長140センチ程度のちびっ子な末っ子、アニタ・キング。12歳。
特にアニタは可愛く、斎藤千和が演じています。
アニタは最初は元気で生意気な子供といった役柄ですが、
物語が進むにしたがって感情表現の幅が広がっていき、
斎藤千和の演技力の素晴らしさが堪能できます。

彼女たちは読子と同じく“紙使い”という魔術に近い特殊能力者であり、
別名“ 紙姉妹探偵社”とりわけ、一番年下のアニタがメインの主人公ですね。
“紙使い”は重度の読書中読者!アニタを除いた姉妹の二人は読子と共通した部分を持ちます。

1話目の大事件が原因で三姉妹は日本に来ることになるのですが、
ねねねと三姉妹は紆余曲折を経て奇妙な同居生活を始めることになります。
 
このアニメは、ねねねと三姉妹の出会いをきっかけにして動き出した物語。
人と人が情を交わしていく日常劇、ミッションをクリアしていくアクション活劇、巨大組織の陰謀など、
様々な要素が含まれたエンタメ作品です。

【感想】

一つ思ったことは、アニタがピンク髪だったりミシェールが金髪だったりと、
三姉妹の漢民族設定の必然性があんまり活きてないようなw

このアニメに出てくる西洋人はしっかりと欧米の人種の特徴を持っているのにね。
次女のマギーと編集者のリーさんはアジア系の外見ですが。

三姉妹が日本の文化に馴染んでたり日本(神保町)が好きだったりと、
アニメの世界の日本に来る外国人って親日っぽくなるのは日本人作家の願望なのでしょうかと?
これは、『きんいろモザイク』でも思ったことですけどね!
と、名前以外は人種を意識させないアニメですね。

このアニメは2クールの尺を与えられたのを利点として、
最初の1クールは日常話を沢山盛り込んでいて、
最初はツンツンしてた“ねねね”が三姉妹に心を開いていく様子とか、
アニタが中学校に通うようになって親友ができたり、クラスメイトと仲良くなる過程とか、
なかなかに面白かったです。同級生の中でも田村ゆかり、野中藍がいたりしてます。

逆に探偵業の依頼で特殊能力バトルをする話は日常回より満足度が下がるかもでした。

物語は後半に続く伏線を散りばめて前半1クール目で一つの決着を迎えますが、
序章に過ぎませんでした。

2クール目でOVA版の登場人物の数々が本格的に物語に合流するなどをして、
OVA版の続きと言える本題の物語が始まるという感じです。
OVAのストーリーには実はこんな裏があって、本当に倒すべき相手が見えてきます。

“紙使い” vs “巨大組織”の追いかけっこが後半は続きます。

日常ものとして前半は面白かったのに、
日常が破壊された挙句にヘイトを貯める回が後半に多かったですので、
満足度は徐々に右肩下がり気味でしたかも。

今時のラノベではヘイト回は圧縮する傾向がありましたので、
この作品では反撃開始までに時間がかかったのは、間延びしてた印象があります。

まあ、作品の内容的に、
『人間は悩んだり、へこんだりするけれど、
 それでも一生懸命考えて一生懸命苦しんでも、
 自分の人生は自分の望むように生きていきたい』
というのがありますので必要な描写だったのかもですけどね。

後半に入っても味方の面々の情に訴えかけるシナリオは良かったのですが、
敵の連中の魅力が薄かったかも。

大義名分、己の理想の実現のために、
非情になったり人を騙したりと卑劣な行動が多かったですね。
彼らにも彼らの正義があり、なりふりかまってられない感じが観てて微妙な気がw
悪役という役割を作品内で与えられてますので、悪いことをしているように見せるのに必要なのでしょうが。

それはまだいいとして、敵組織の過剰なまでに強大な権力(アメリカ合衆国を雑魚扱い)とか、
威圧的な行動が荒唐無稽に見えてきたり。
現実世界とは違って、そういうふうに作品世界の中では出来ていますので、
問題視しないほうが良いのでしょうけど。

観てて悪役組織の微妙な行動の代表的なものが、神保町での焚書ですね。

この世界では、本は人類の叡智を記録した結晶みたいなものであり、
人によっては宝石よりも貴重な存在らしく、本を制すものが世界を制す。
本を損壊することはとんでもない大罪っぽい扱いだったのですが、
古書街から本を無理やり徴収してかき集めて燃やしたからなんなの?て気も。

本を燃やされても、また発行すればいいじゃない?て前に観た時に変だなと思ったのですが、
現代社会で例えるとインターネットを外国の一法人に管理されるようになって、
検閲とかルール改正とか刑罰の適用とか法人の裁量次第になって、
そいつらの意向次第で世界中の政府をコントロールし放題であり、
インターネットを支配する一法人が世界を支配する王みたいな感じでして、
自分でも書いてて、あ…やっぱり、微妙な気がw

まあ、敵組織に卑劣な行動をさせても本当の悪者にしないためにも、
カタギの人間を殺す代わりに本を燃やすという行動に置き換えられたのでしょうけどね!
陰謀とか駆け引きとか終盤に差し掛かる前に続きますが、
あんまりワクワクしたり心惹かれる要素が無かったですね。

私の価値観のせいか途中の展開で気になる点があったり、冗長な部分もありますが、
感動的なシーンが散りばめていて最終回も後味が良かったですので、概ね楽しめる作品でした。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2016/12/27
閲覧 : 566
サンキュー:

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