蒼い✨️ さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
人類の歴史は戦争の歴史。
アニメーション制作:キティフィルム三鷹スタジオ、ティー・ピー・オー、ケイファクトリー
OVA第1期 — 全26話(1988年12月 - 1989年6月)
OVA第2期 — 全28話(1991年6月 - 1992年2月)
OVA第3期 — 全32話(1994年7月 - 1995年2月)
OVA第4期 — 全24話(1996年9月 - 1997年3月)
本伝110話外伝52話劇場版3作という異例の大長編OVA。
原作は、田中芳樹によるベストセラーSF戦記小説です。
遠い未来、宇宙に進出し恒星間国家を持つに至った人類は、
地球すら過去の存在として銀河の辺境の一惑星として人々の頭から忘れ去られ、
2つの陣営に別れて絶え間なく戦争を続けてきました。
"ゴールデンバウム朝銀河帝国"
"大帝"ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムが建国した専制政治の国。
大衆の熱狂と絶大な支持を基盤に民主的な手続きによって、
銀河連邦の最高権力者に上り詰めたルドルフが銀河帝国皇帝に即位し、
それからは民主主義を弾圧し、功労者には爵位を与えて貴族制度の復活。
特権階級が平民から搾取する圧政を繰り返し、政治は民主主義から中世の時代へと逆行しました。
時代は流れて銀河帝国も老朽化し、
身分制度はしっかり根付いて門閥貴族が特権にあぐらをかき続けていたものの、
民主主義を掲げる“叛徒”を相手にした戦乱による人材の喪失を埋めるためにも、
下級貴族や平民でも能力や武勲によっては高級将校にまで出世可能になり、
依然、貴族と平民の身分の差は分厚いままであるも、
銀河帝国の創成期と比較しても平民への扱いが少しだけマシになりつつありました。
"自由惑星同盟"
銀河帝国初期の恐怖政治に逆らい、
弾圧と虐殺の歴史の中で殺されずに奴隷階級に落とされた者達の子孫が、
アーレ・ハイネセンをリーダーに氷に覆われた監獄惑星から脱出し、
「長征一万光年」を経てバーラト星系に到着し、民主主義国家復活の地とした恒星間連邦国家。
しかし悲しいことに帝国への抵抗の歴史を繰り返しているうちに、
政治家の選挙のためのプロパガンダで出兵をするなど、
民主主義の理念は歪み、政治は腐敗してしまい、
硬直した「反帝国主義国」に成り果ててしまいます。
そんな時代の中、宇宙暦796年/帝国暦487年2月。
アスターテ会戦から物語が始まる、人類の歴史の1ページを記した壮大な軍記物です。
帝国に現れた若く覇気に溢れた金髪の天才“ラインハルト・フォン・ローエングラム”
一見冴えない歴史学者にしかみせない青年だが、
同盟軍人であり最強の用兵家である不敗の魔術師“ヤン・ウェンリー”
この二人を主役にして銀河帝国と自由惑星同盟の両陣営の戦争を軸に物語が進みます。
銀河帝国は初代皇帝ルドルフの貴族趣味で中世ヨーロッパの香りがする封建国家。
また、ラインハルトの元帥府には親友キルヒアイス、ミッターマイヤー、ロイエンタールなど、
若く鋭気に溢れた優秀な提督が大量に集結してまさに精鋭ぞろいです。
自由惑星同盟はアメリカ的な民主主義連邦国家。
物語開始当初は帝国軍の侵略に耐えうる規模の軍隊、そしてビュコック、ウランフなど歴戦の提督たちがいましたが、
政治の腐敗に足を引っ張られたり帝国との争いで戦況が悪化していきます。
また、第三国として莫大な資金力を持つ中立の商業国家フェザーンが裏から戦乱を操り、
漁夫の利を狙っての陰謀を企てています。
この作品は、戦争だけでなく政治体制に対する異なる思想の潮流の対立がテーマになっていて、
考えさせられます。(現実と比べたらデフォルメされていますが)
昔のアニメだけあって、また予算は一説には一本1000万円と言われ、
2期なんか北○鮮作画とか言われていて、はっきりいって作画はかなり地味です!
SF設計やドッグファイトアクションなどを期待すると近年のロボアニメと比べると、
スピードや躍動感では遅れを取りますが、
本質的には群像劇ですので大河ドラマ的な楽しみ方をすれば、
それを補って余りあるほどの濃密な内容です。
銀河声優伝説の異名のとおりに惜しげも無く往年の名優揃いで、
大物声優ですら使い捨てに等しい様々な端役に名を連ねていて、
声優起用においては最高に贅沢な使い方をしています。
登場人物はなんと、660名!恐ろしいですね。
そのなかでやっぱり一番は主役のヤン役の富山敬さん。
彼の温かみのある声と演技は多くのファンを魅了したことでしょう。
ヤン艦隊の面々は個性的なメンバーで艦隊ひっくるめて、
銀英伝ファンから愛されましたね!
本来ならば物語も★5にするところですが、
初期のアニメ独自色のぶんマイナスとさせていただきます。
→でもやっぱり原作に忠実になってからは本当にいいのでキャラともども★5に訂正。
普通のアニメならば、美少年や美少女に萌えるところですが、
このアニメは登場人物の平均年齢が高く、
ビュコック提督とかメルカッツ提督など年長者に味わいのある良いキャラが多くて、
個人的には不朽の名作に値する作品だと思いました。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。