退会済のユーザー さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
少しの違和感と、終わり良ければすべて良し
楽しいクラブ内で、入れ替わりの心理戦が5人組の関係に陰をさしてゆく。穏やかじゃないね。
「どんな事を打ち明けても、変わらない態度でいてくれる?」
十代の頃の、自分の中の暫定的な世界しか知らないことの不安。
大げさかなーと感じる部分と、考え過ぎとも言い切れない部分が両天秤にグラグラとかかっておりました。
見に覚え、ないかといえばありますがね、遠い昔…(u_u)
主人公男子は「空中ブランコ」の伊良部医師ばりに問題をほぐしていましたね。
重要な点を牛耳っている「ふうせんかづら」こそ、伊良部的役割なのか?という時もあり…いっそ伊良部的に…「ハーイ!じ・つ・は♡みなさんいれかわっちゃいましたー!え?だって〜、こうゆうのおもしろくなーい?」などと脳天気に来られたら、みんなのツッコミ(とくにクールなイナバちゃんの)が楽しみだったかもしれないです。伊良部伊良部言い過ぎです。すいません。
「…でね、こんなこと考えちゃう自分が嫌い」
コレを話の後ろにつけちゃう女の子が素直ですごいな…?とシミジミ思いました。
裏返すと
自分を嫌いって言えちゃう自分が嫌いじゃない
自分が嫌いって言えちゃう自分が嫌いじゃない、そんな自分が嫌い
どっちにも転べる、そんな十代。
(u_u)
自分の違和感や想いを言葉にまとめることができて、打ち明けられる相手が居たなら、もうそれで大半の問題は済んでいるような気はします。口にして放出するまでが大変なエネルギーじゃないですか?
後半の意思伝導の話を観て。ますます穏やかじゃないね。ひどく辛辣な形で堂々巡りする展開。いおりちゃんの冷静さが滲み出て引かれている…。それくらいの冷静さや暗さは、現実的にみれば持ち合わせていてもおかしくないと思うけど…逸脱してしまい苦しそうでかわいそうでした。
ひとつ気になったのは、主人公のナレーションの「いおりは壊れていった」という表現。 {netabare} そういうギョッとさせるところをあぶり出したい脚本なのだし、解決のための対話は徹底して熱く語られていたのだから、終わり良ければすべて良しで、気にすべきではないのかもしれないですけど。
壊れるって何。
折り線のついた折り紙はもう使えないみたいな言い方ですね。いくらでも折ればいいし、ちぎり絵にしてもいいし紙吹雪にでもすればいいし梳きなおせばいい。
実際、物語の局面の対話ではそういった図太い工夫を持てという誘導もありました。でも「壊れて」と主人公に言わせたのは疑問でした。親しい友達の窮地の状況を語る時に、使うかな?いおりよりよっぽど冷徹なチョイスな気がして、 {/netabare} 心優しい主人公から出た言葉とは思えず、これは脚本家の書いてみたい言葉だったんだろうなと思いました。
全体的に、いおりちゃんとイナバちゃんの対決が面白くて。いおりちゃんは主人公男子と居る時よりも、イナバちゃんの前に居る時の方が、主体的にあろうとする力が強くなっていて、いい性格じゃん、と思いました。
ひとつといいつつもひとつ、いおりちゃんちの家庭の事情の最終解決が、現実的な重みをズシズシのっけた割にはお笑いみたいになってて、アレレ?でしたね。
あだち充的なベース型にゆるんだ顔立ちのおかげで、穏やかじゃない展開も柔らかく優しく描かれていました。
友達との付き合い方に悩む世代が観ると、きっと誰かに感情移入して考えさせられるんじゃないでしょうか。