woa さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
衰退した。その後何をするかが問題だ
人類はなぜ文明のほとんどを失ってしまったのか。人口が壊滅的に縮減していく中でどのような混乱が起き、そんなカタストロフの中、どのような経緯で主人公たちはこんな平和な村落共同体を作ったのか。このような「衰退」までの過程は作中では明確には描かれないが、その理由はおそらく人間とはどんな過酷な環境でもいずれは適応できてしまう生き物であるし、衰退した後にもやはり何かしらの楽しみであるとか生きがいを見つけて生きていかざる得ないのだという楽観的なのか悲観的なのかわからない前提条件があるからではないだろうか。
たとえば近代文明を失った作中世界では深宇宙探査機はもはや過去の遺物として手回しハンドルを取り付けた後放置されるのであるが、もう一機の探査機とともに寄り添うよう形で置かれている情景は長い旅からようやく解放された安堵感に満ちているように思われるのである。
そして中世に戻ったかのような村には妖精であるとか魔法のような言葉が復権する。そのさまはOPやお茶会で示唆されるようにルイスキャロルの空想世界そのものであるが、科学的知見を失った人々がセカイを不思議に満ちたものとして見る視点には確かに様々なドラマを生む力があるように見える。タイムスリップであるとか漫画世界に入り込んでしまうだとか、あり得ない出来事も妖精さんのいたずらで簡単に済ませてしまえるため、色々余計な設定を持ち出す必要がないのである。この視点は様々な種類のテーマを一つの話の中に取り込むには良い装置なのではないだろうか。現にこの作品は章ごとにまるで違う作品であるかのように趣の異なる語り口になるのだから生産的である。
nano.ripeのOPはパロディも有名でインド人は逆に繁栄している。