101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
全部ちゃんとするから
初見時は全く折り合いがつかなかったアニメでした。
本作は同名恋愛アドベンチャーゲームから名前は拝借しているが、
ストーリーは完全オリジナルのP.A.WORKS・西村純二監督作品。
…という余計な予備知識が邪魔をしてストーリー以前に、
どういう見方をすればいいのか分からなくなったのが、私の迷宮入りの始まり。
いかにもギャルゲーっぽいセリフや展開もあったし、
OP「リフレクティア」を担当したeufonius(ユーフォニアス)のボーカルは
keyの『CLANNAD -クラナド-』で「メグメル」も歌っていたし…。
そんな感じで私の頭はみるみるギャルゲーモードに…。
私がギャルゲー原作アニメを観る場合は主人公の存在を脳内でほぼ抹消して、
ヒロインをフォーカスするゲーム視点になります。
結果、同時期に複数の女の子を選択可能な
優柔不断なギャルゲーの主人公がふらふらする平凡なギャルゲーだったな…。
という無残な感想が残りました。
でも最近、西村監督の『グラスリップ』を鑑賞して、
監督が純文学的な青春の表現を目指しているらしいことが分かり、
もしかしたら『true tears』も純文学モードで挑めば再発見があるかもと、
再見に挑んだ次第。
今回は眞一郎も人格を有した主人公としてしっかりと見守りました。
将来のことを決めかねる少年が恋愛を通じて痛みを伴う決断ができる大人へと踏み出していく…。
それが古来より青少年の鬱屈を発散してきた祭りの踊りで外部化される。
良質な青春アニメだったとようやく評価を改めることができました。
繊細な心理描写が光る良作だと思います。