ぷれんばにら さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
いつまでだって、聴いてるよ♪
{netabare}前人未到の記録を数々打ち立てたけいおん!第2期。その近年のアニメ史へのインパクトは計り知れず、また観所もたくさんありずぎて思わず「全部!」と言ってしまいそうである。
しかし、私はあえて1つだけ、けいおん!第2期の観所をご紹介したい。
それは最終回「卒業式!」のラストのシーン。
卒業を迎えた唯ちゃん、みお、りっちゃん、むぎちゃんがあずにゃんに「天使にふれたよ!」を贈り、「次はあずにゃんも一緒に!」と唯ちゃんが言った直後。音楽準備室にのどかちゃんとさわちゃん先生が入ってくるシーンである。
「あ、私達の曲、聴いてくれる?」唯ちゃんはそう言い、それが最後のセリフとなるが、私はこのシーンを最初に観たとき何か妙な感じがしたのだ。何かがない気がする、と・・・
そう。唯ちゃんは、入ってきた2人の名前を呼んでいないのである。
「そんなのたまたまでしょ」という指摘もあるかも知れない。しかしこれまで唯ちゃんは、準備室に誰かが入ってくると決まって「あ、~ちゃん!」と呼びかけていたはずである(もしも普段通りなら「あ、のどかちゃん!さわちゃん!ねえ、私達の曲、聴いてくれる?」みたいな感じ)。どんなキャラクターが入ってきても無視しない唯ちゃんの人柄は、けいおん!シリーズの観所の1つであると言える。
しかし、このときだけは呼んでいない。
私はこの演出には必ず何か意味があると思った。最後の最後で、唯ちゃんが部室に入ってきたキャラクターの名前を呼ばなかったのには、きっと何か理由がある・・・
・・・そして、私は自分なりの答えを見つけた。
あの「あ、私達の曲、聴いてくれる?」というセリフは、のどかちゃんとさわちゃん先生だけに向けて言ったものではない。感動的な最終回を迎える中、このアニメを愛する全てのファンに向けて言った言葉なのだと。
誰かの名前を呼ぶという行為は、言葉を届ける相手を特定するという意味を持つ。唯ちゃんがあえて「のどかちゃん、さわちゃん」と呼びかけなかったのは、二人だけに自分達の曲を聴いて欲しかったからではなく、もっと大勢、つまり私達けいおんファン全員に聴いて欲しかったからではないだろうか。
「けいおん!のアニメが終わっちゃった後も、私達の曲、聴いてくれる?」卒業する唯ちゃんは最後に、全国のけいおん!ファンが絶対にNOと答えられないようなお願いをしたのだと、私は思う。
実際には、けいおん!という物語はこの後も「大学生編」「高校生編」という形で続いていく。しかし、放課後ティータイムの5人が桜ケ丘高校軽音部員として活躍するのは、これが最後。
「あ、私達の曲、聴いてくれる?」唯ちゃんのお願いに、私はこう答えたい。
「もちろん。いつまでだって、聴いてるよ♪」と。{/netabare}