tao_hiro さんの感想・評価
3.2
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
恥ずかしながら・・・
不覚をとりました。40代のおっさんであるこの私、この作品で泣いてしまいました。少女漫画原作はこれがあるから油断できません(笑)
雨。それは人々に等しく水滴を与える存在であり、たぶん普通は悲しさとか寂しさとかネガティブなイメージを連想させます。
太陽。これも人々に等しく光を与える存在であり、たぶん普通は嬉しさとか楽しさとかポジティブなイメージを連想させます。
この太陽と雨が特別な条件で結ばれたとき、空には美しい虹がかかります。
王族同士のラブストーリーとして、これ以上分かりやすいメタファー(暗喩)は無いでしょう。そこにこの作品はちょっと工夫を施しています。
ヒロインの「雨の公国」の第四公女ニケには、明るく活発で陽気な性格付けをしています。そしてヒーローの「晴れの大国」の太陽王リビには、有能ながら影をもった性格を与えています。
さらにニケの方がリビよりも年齢も身長も高くして、雨と太陽のイメージとキャラクターとの間にミスマッチを作っています。このミスマッチが互いの本質を効果的に浮きぼらせています。
ニケの場合は慈愛とか恵みとか雨が持っているポジティブな性格を、リビの場合は苛烈とか渇きとか太陽が持つネガティブな性格です。
さて、ストーリーも直球勝負です。最初は反発していた二人が、様々な事件を乗り越えていくうちに親密になり、やがて恋が芽生え、最後は相思相愛となる、という王道を全く外しません。ありきたりと言えばありきたりです。
ではなぜ私は泣いたのでしょうか。以下は40代のおっさんが語るには恥ずかしいので伏せます(笑)
{netabare}この作品では親愛の情が恋そして愛に変わるのは最終盤です。それまでは互いに「相手を守りたい」という利他的な感情で行動します。これを愛と呼ぶには不十分です。「そばにいて欲しい」という利己的な感情とそろわなければ愛ではありません。
この愛が生まれた瞬間の描き方(ラストシーン)が私の涙腺のツボを押しました。{/netabare}
この作品、コメディ描写がふんだんにあるので、ラブコメに分類されるのでしょうが、私にとってはピュアなラブストーリーに思えました。
挿入歌の「アメフラシの歌〜Beautiful Rain〜」にも触れておいた方が良いでしょう。ニケが雨を呼ぶときに歌う歌なのですが、美しいメロディのスローバラードです。
若い方にはわかりづらい説明かも知れませんが、全盛期の松田聖子が歌ったらシングル50万枚以上は確実の素晴らしい歌です(笑)
普通ならば感動した作品は続きが気になるものですが、この作品については
2期が見たいとは思いません。見事に完結していると思います。