tao_hiro さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
POWER OF KIDS
都会を離れ田舎で農業などを営みながら創作活動をしている芸術家は少なくないと思います。豊富な自然、地域住民との繋がりなど、都会では経験できない事を通じて創作意欲やインスピレーションを得ることができるらしいです。
この作品の主人公「先生」は、自発的ではないが田舎暮らしを経験することによって、自分の殻を少し破ることができます。ただし、その原因は、豊かな自然でもなく、地域住民との繋がりでもなかったと思います。
「先生」を変えたもの、それは「子供たち」だと思います。
私は40歳の記念に「市民参加ミュージカル」というものにチャレンジしたことがあります。そこには4歳から70歳までの80人が集合しました。私の役は縄文時代の村の長老で、村人たちは小学生と中学生が合わせて30人で、大人は私一人でした。
他の場面では、だいたい同世代でかたまっていましたので、演出の先生に「なぜ私だけ子供のなかに放り込まれたのですか?」と聞きました。演出の先生の答えは「オーディションの時にピンと来ました。この役はあなたにしかできないと思います。」
稽古が始まって演出の先生の言葉の意味がすぐわかりました。無茶苦茶居心地がいいのです。小学低学年の子供たちは可愛らしいし、中学生はちょうど息子たちと同世代だったのでアニメやテレビ番組の話で盛り上がることができます。最高に楽しかったのは、育児書的にギャング・エイジと呼ばれる小学3年~6年ぐらいの男子と遊ぶことです。
劇中歌の替え歌を作ったり、衣装や舞台装置にいたずらしたり、他の大人の劇員さんたちがあきれるぐらい仲良く遊びました。
その結果、私と子供たちの場面は、ぴったりと息が合った素晴らしい舞台になりました。半年にわたる稽古と公演が終わって解散するときは胸がつまる思いでした。
この間、私は自分の心が浄化されるような感覚を味わいました。妻も「ミュージカルの間のあなたは活き活きとして顔が輝いてたよ」と言います。
・・・長々と個人的な話をしてしまいましたが、「子供」には「大人」を変える不思議な力があると思います。
この作品のもう一人の主人公なるちゃんは、特にその力が大きい子だと思います。自由奔放で先生を引っ掻き回します。知らず知らずに先生は子供たちの世界に引き込まれます。その子供の世界で自分を見つけ、新たな境地に目覚めたのだと思います。
この作品、「田舎あるある」とか「島の問題」とかが余り描かれていないのが好感が持てます。先生の成長≒なるちゃんたちとの交流に集中できます。
続きがぜひ見たい作品です。
あまりレビューにはならなかったですね(笑)
長文にお付き合いいただきありがとうございます。