tao_hiro さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
馬鹿笑いしたあと考え込んだ
自分の価値観や常識が「相手」と違ったとき、多くの人は「気にしない」か「気づかないふり」をすると思います。
また、自分の価値観や常識が「みんな」と違ったとき、「不安」や「反発心」を覚えても表に出さないのが普通でしょう。
と・こ・ろ・が、相手との親密度が高くなると、そうはいかなくなることがあります。
例えば、妻と同居して初めてのクリスマスにこんな事がありました。クリスマスイブに食べきれなかったケーキが、クリスマスの朝食としてでてきたのです。
私「朝食にケーキなんて食べられるか!」
妻「なによ!食パンにジャム塗ったり菓子パン食べたりしてるじゃない!」
私「ケーキはデザートだろ!夕食後に食べるものだろ!」
妻「なにそれ、わかったわよ、面倒臭い!」
後で詳しく話してみると、私にとってケーキとは誕生日とかクリスマスとか祝い事の時にしか食べられない「特別な食べ物」でした。これに対して妻の実家ではケーキはおやつの一つに過ぎず「ちょっと高価な菓子パン」程度の感覚でしかなかったことがわかりました。
♪育ってきた環境が違うから~、とSMAPは歌いましたが、このように、相手との違いを理解しようとすることは、他者を肯定することのみならず、自分自身をも理解することに繋がると思います。
この作品は、その行程を、主人公の苦悩を暑っ苦しいギャグで描写することによって表現します。タイトルの「目玉焼きの黄身いつつぶす?」といった一見ささいなようで、人の印象を大きく左右する料理の食べ方の違いを取り上げることによって。
最終的に主人公は個人主義とは異なる相互理解の心で「人は人、自分は自分」という境地に落ち着くのですが、そこへ導いたのは職場のリーダーの近藤さんだと思います。
近藤さんは苦悩する主人公の話を丁寧に聞いたうえで、自分の食べ方を少しのゆるぎもなく教えてくれます。確固たる自分を持った人間≒大人の近藤さんに価値観をさらに揺さぶられたり、慰められたりしながら、主人公は成長します。
主人公のウザい問いかけは、「他人を知りたい」「自分を知りたい」という心の叫びだと思います。この問いかけにまともに相手してくれる近藤さんのような大人が周囲にいるかどうかで、その人の心の安定が決まってしまうように思えます。
レビューじゃありませんね(笑)
長文にお付き合いいただきありがとうございます。