takarock さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 5.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
おもひで映写機
本作を視聴したのはもう随分前になりますが、
夜更けに酒を片手にという状況でした。
これが実にまずかった。 酒がじゃないですよw
こんな視聴の仕方をしていると確実に本作にやられますw
涙腺が緩い方は山崎まさよしさんの
「One more time, One more chance」にやられ滂沱の涙なんてこともw
ただし、これは大人の、そして男の場合の話です。
もちろん若い方でも女性でも本作に感動したという方はいるとは思いますが、
このレビューのタイトル通り本作は「思い出映写機」なんですよね。
「おもひで」と表記したのは普段は記憶の片隅に閉じ込めてある
そんなあやふやな漠然とした思い出という意味を込めました。
本作は客観視する為に距離を取って視聴しても
あまり感じるものはないのかもしれません。
特段濃密な内容という作品ではないですし、
もっと言えばあまり内容はないのかもしれません。
しかし私は酒の力もあってか思いっきり感情移入して本作を視聴していました。
もちろんそうなるに至った理由もしっかりと存在します。
見入ってしまうような作画、しっとりと聴かせる音楽、
キャラの心情を表現する絶妙な構図の取り方、会話のやり取りや間の取り方、
キャラの仕草や小物の使い方等
新海誠監督は雰囲気作りが実に上手い監督だと思います。
つまり、お酒だけじゃなくて雰囲気にも酔ってしまったということですw
本作を介して自分の過去を思い出させる装置として
効きすぎるくらい機能していて、
貴樹みたいな甘酸っぱい青春を送ってないよって場合でも、
例えば小学の時、自分に好意を寄せてくれた相手に気恥ずかしさから
その手を振り払ってしまうような扱いをして泣かせてしまったこととか、
高校の時に好きだった人と友達が付き合うことになったと知らされた時のこととか
そんな(思い出しくもない)ことまで思い出させてくれると思いますw
ただ、学生の方にとっては思い出映写機として機能するのは
「桜花抄」と「コスモナウト」までということになります。
3話の「秒速5センチメートル」は大人になってから改めて観て頂きたいですね。
一方で本作は男性と女性とで意見が分かれる作品だと思っています。
女性の視点に立てば、貴樹は現在を見ず、過去に囚われてウジウジしている奴
ということになるのかもしれません。
自分の夫や恋人が、あるいは想い人が
こんなに過去に囚われているような人だったら
絶対嫌だという感情を投影してしまうことも
あるのかもしれませんし、ないのかもしれません。
私は男ですからその辺のことはよく分かりませんとお茶を濁しておきますw
最後の踏切のシーン。
振り返ったその先で電車が通り過ぎていき遮断機が上がる頃には想い人の姿はなく・・・
貴樹は少し笑みを浮かべ逆の方向に歩を進めていきます。
もう振り返らない、これからはしっかりと前を向いていこう
そんな風に私は感じました。
あの冬の日、桜木町を駆けずり回ったのは
確か突然「他の人を好きになった」と告げられた相手に
必死でよりを戻そうとしたからだったっけかな・・・さて、今夜は飲むかw