Kuzuryujin さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
いつまでも心の中に生きる
<最終話視聴を終えて>
原作の最終話まで読んでいたので結末はわかっていました。
脚本の台詞はほとんど原作と一緒かな。
やはり綺麗な映像+音楽が加わるとより物語が映えますね。
公正のピアノにかをりのヴァイオリンが加わった瞬間は鳥肌ものでした。
{netabare}
ヒロインは亡くなってしまい、
決してハッピーエンドとは言えない切ない結末。
私は基本的にアニメ、映画、ドラマすべてにおいて
病死とかで安易にお涙頂戴という物語は嫌いです。
しかし今作は不思議とあれで良かったと思える。
・ヒロインが天から与えられた寿命の中で
悔いなく生きられたことが素直に伝わったこと。
・公正の成長に多大な貢献をした、
かをりの存在は皆の記憶の中にずっと生き続け、
彼女の死は決して無駄ではないこと。
・残された人すべてが前向きに生きていくんだろう
という希望を感じられたこと。
この点でよく描けていたからでしょう。
原作者のブレのない構成力の賜物。
ただ、アニメの最終話に対して不満を挙げるなら、
原作では、公正の演奏が終わった後、聴衆が拍手喝采する中、
ライバルの武士と絵見が、公正の才能をあらためて認め、
これからも3人はライバルであり仲間なんだと
示唆する内容の台詞があります。
これが個人的にとても好きです。
武士「やっぱ すげーな あいつ」
絵見(頬に一筋の涙がスーッと流れ落ちながら)
「私たちは 旅をするんだね…あいつの背中を追い続けて…これまでも これからも」
武士「ああ きっと素晴らしい旅になるよ」
アニメではこれが本来Aパートの最後にあるべき。
この台詞が彼等二人にとっての原作での物語最後の台詞でした。
Bパートでもはや二人のことは語られることが無いのは原作と一緒。
この台詞をカットしてしまったので、
アニメでは二人は忘れさられたかのように
余韻も無くフェードアウトしてしまいました。
カットにより、公正とかをりの物語として強調されましたが、
ライバル2人も物語の重要、かつ好きなキャラでしたので非常に残念です。
あと全体的には、
アニメではコミック以上にテンポよくした方が好い。
くどさを感じさせない演出や構成の方が好み。
その点、原作に忠実すぎるギャグ描写と、
鬱描写のくどさがいまいちでした。
以上が、物語評価は原作は満点でも
アニメでは満点にできなかった主な理由です。
{/netabare}
余談ですが、もしこの作品で
公正、武士、絵見のようなピアノでのライバル同士の成長物語に
興味を持たれた方は、一色まこと女史原作の
2007年の映画『ピアノの森』とコミック全26巻をおすすめします。
ここでも男2人と女1人のピアニストがいます。
小学生の頃に出会いライバルと認め、
お互いの才能を高め合う様が描かれます。
今作から楽器をピアノのみに絞り悲劇要素を抜いた感じ。
キャラは違うものの類似点が多い面白い作品です。