STONE さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.5
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
笑えると同時に心が痛む
原作は未読。
とにかく主人公であるもこっちこと、黒木 智子の個性に尽きると言っていいような作品。
彼女がリア充を目指して孤軍奮闘するも見事に空回りして残念な結果に終わるが、これが笑い
どころでありつつも、観ていて心が痛む部分でもある。
事前の妄想段階では当然うまくいっているのだが、これがアニメ、漫画、ラノベでよく
ありそうな都合のいい展開ばかりで、「現実はそううまくいかない」と、この手の作品自体を
揶揄しているようにも思える。
毎度毎度、報われないもこっちだが、まったくめげない行動力にはある意味恐れ入る。まあ、
その行動力が被害を拡大させているのだろうけど。
主に人の失敗を笑うという、後ろめたさが出てきてもおかしくないような作品だが、あまり
そういう気にならない理由の一つがもこっち自身の性格が良くないことにありそう。
基本的に自意識過剰といった印象で、回りの人を見下しているような独白が多い。最もこれは
回りに対する憧憬の裏返しのようで、結局は自分の劣等感を隠すための行為に思えたりする。
もう一つが彼女を囲む周りの人達の対応で、これでもこっちがいじめられているような
キャラだと同情が湧きそうだが、親友のゆうちゃんを始め、クラスメイトや一見さんのたまたま
知り合った人も含めて、彼女の回りは優しい人ばかり。弟の智貴にしても、あのもこっちの
態度からするとそれなりに優しいのでは。
実際、極度の人見知りであるもこっちがちゃんと話せるようになれば、彼氏はともかく友人
ぐらいはできそうな感じ。
ただ、自分も若い頃に一種のコミュ障だった時期があり、原因が自身にあると判っていても、
なかなかそれを変えることができないジレンマはよく判る。そう考えると一概にもこっちに非が
あるとは言い切れないんだよなあ。
一方、リア充ライフを満喫しているようなゆうちゃんだが、本質的な部分は隠して、回りに
合わせているような部分も見受けられる。
こうなると孤独ながら自分の趣味を満喫しているもこっちと、本当に幸せなのはどっち
なんだろう?と考えてしまう。
一歩間違えるともこっちの辛さばかりがクローズアップされる鬱な作品になるか、逆に彼女を
嘲笑うような作品になってしまうところを上手いさじ加減でバランスを取っている感じ。