migratory さんの感想・評価
2.5
物語 : 2.0
作画 : 3.0
声優 : 2.5
音楽 : 2.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
自転車の2人乗りどころか4人乗りしそうな「君」との青春の行末
劇中にヴァイオリンやピアノ演奏、クラシック音楽を扱うことから中学生版「のだめカンタービレ」のようにも感じられる、青春てんこもりスポコン恋愛アニメ。
ノイタミナ予告CMでスキマスイッチの「全力少年」が流れていたのは本作とは関係はなかったが、全力な主人公たちにその曲の起用の本意するところがありそうです。
―物語は母の死をきっかけにピアノが弾けなくなった有馬公生の視点で描かれます。
面白いところ抜粋してみました。※ネタバレです。
第一話「モノトーン・カラフル」
スカートの中のコンテンツを覗いてしまったため変態扱いされる主人公。もしかして、カラフルだったのはそのコンテンツの方じゃなかったのだろうか?(と思わせるほど意味深なタイトル)
第二話「友人A」
演奏シーンでおっさんの心の声が光ります。「本性出してきたな」がツボでした。いつの間にか主人公の事を呼び捨てで呼び、やるじゃあないか君もと言わんばかりの心の声は、おっさんが若い者に抱くあるあるな事を消化させようとしてるように感じました。
その強がりが、ものすごく切なかったです。
第三話「春の中」
(有馬が)譜面を教室中に張るという、何時間かけてコレやったんだろう…という覚えるより凄い地味なことをしている彼にがんばるところが違うのではと言いたくなるところだが、寧ろ賞賛してあげたいくらいの努力に思春期の勢い、勘違いを平気でしちゃえる青春らしさを感じました。
第四話「旅立ち」では、懸命な演奏をし終えた彼らに拍手喝さいが贈られたものの、まさか本当に旅立ってしまうなんて…という驚きの展開がなされる。
第五話「どんてんもよう」では出血多量の事件がおきました。
倒れたばかりなのに河にダイブするとか、ほんとやめたほうが良いよ?
「自転車の二人乗りは~」の時みたいに忠告の配慮がなされると思っていたら無かったので、割とアスレチックとかジャングルジムをなくして欲しくない子どもの遊び肯定派の自分にとってもこれは危ないと言わざるを得ない危険行為ではないかと思われ…。しかも、小さい子が見ている目の前で…子ども笑ってなかったよ?大丈夫なの?あの子ら。ひょっとしてこの町の伝統なの?通過儀礼なの?小さい頃の椿も、誰かが飛び込んでいるのを目撃して真似したの?・・・親心がなくても心配な気持ちになる。
それに、小さい子どもの頃から橋からの飛び降りしていた主人公たちって、どんな遊びを経験してきたらそこに行き着くんだろうっていう、寧ろ感心したい心境になります。やはり只者じゃないです、この主人公。
第六話「帰り道」ではスポコンと、昼ドラと、ライバル登場の少年ジャンプ的展開と、修行編が一挙になされる。てんこもり。
そして、サッカー部・渡亮太の、日頃忘れられている存在感を晴らすかのようなスピーチは一聴の価値ありです。
第七話「カゲささやく」
まさかの黒猫さん登場。NARUTOでいう九尾・九喇嘛的存在なのだろうか?
ピアノの才能は彼がかつて飼っていた黒猫・チェルシー(カゲ)の力なのかもしれない。
第八話「響け」
有馬信者であり心のコエニスト・武士(超サイヤ人の方)と井川(赤と黄色のオーラを放つ方)の演奏のターン。
井川のスコーンのくだりが面白かったが、演奏時体と顔の動きに違和感。
この子、どうしても男の子に見えてしかたがない…
第九話「共鳴」
俺は海賊王になる!ばりの名言を放つ小井川絵見。ついに⑭265(有馬の番号)、コンクール嵐の登場。ところで、いつ着替えたんでしょう?
個人的には、有馬母と井川の共演回に何かどぎまぎさせられてます。
小有馬(この頃からオシャレ眼鏡愛用?)と小椿と小渡のシーン(回想)がいっぱい。
そして、フラグを立てる金髪の子。最終回を想定すると正直この子が怖いです。そして、有馬の演奏開始。
第十話「君といた景色」
ヘタに見せた演奏から、秀逸な演奏をしてみせる有馬。詩的な世界の極地からアゲインされる―。
…正直、自分にもアゲインのことがよく分からない。何からのアゲインなのか、何でアゲインしたのか、誰のためのアゲインなのか、支配からのアゲインなのか、泣きじゃくる子どもがなぜ鍵盤を叩きつけるのか、音がなぜ煌めくのか、どうして演奏中なのに達観してるのか、演奏中だから達観するのか、星空はどうしてこうも変人を生むのか、ショパンって…、もしや金髪の子が達観させたのか、覚醒させたのか、というと彼女はクリリンなのか、そうか彼女はクリリンだったのか、クリリンと悟空の修行の日々はこのためのフラグだったのか、ならばフリーザは誰なのか。そもそもアゲインって何なのか…もうよく分かりません。
演奏中になぜチョークの匂いがするのかとか、不細工扱いされた窓ガラスの気持ちとか…。
たぶん、戻ってこいと思ってるのは井川だけじゃないはず(違う意味で)。
ところで、どこに戻ってくればいいのか。あの時旅立った以上に旅立ってしまっているんじゃないんでしょうか。なぜ、背景に向日葵が咲くのか、桜が咲くのか、どうして花びらが舞ってるのか。
いつまで母はのっぺらぼうなのか。いったい何を届けたいのか。
恐らく誰にも分からないと思います。
天才だからしか分からない世界観なのかもしれないが、この感じは「焼きたて!!ジャぱん」の悪ノリに似ている気がし…。
第11話「命の灯」
勝負に勝って試合に負けた感じのコンクール嵐。
けして名折れはしなかったと思いますが…正直、並大抵のストーカーより感情が凄まじ過ぎて、将来を案じます。
そして、一世一代の告白のチャンスを棒に振った妙なカッコ良さも見所。
第12話「トゥインクル リトルスター」
金髪の子の両親初登場。髪の色から本当の両親ではないんじゃないか疑惑が放たれる。
そして、また出血&また危ない事態が起こる。一歩間違えば学級閉鎖という、まじめなことの逆を行く青春を送る主人公たちにはもう何を言ってもダメな気がしてなりません。
また、ガラコン本編のスタート。新たな新キャラ・小僧くん(三池俊也)の正論の主張に半ギレの有馬さんも見所。
ちなみに「自転車の二人乗りは~」が再び。
第13話「愛の悲しみ」
宮園かをりのためならイケメンになれる能力でもってその天才性を明かす公生(一向に笑顔を見せない有馬の母、通称有のママによって公生自身が調教させられてることの証明?で覚醒?)の演奏回。
そこで、ついに有のママの表情が明かされる&デレが見えます。
公生に頭突きをくらわせた紘子の娘・小春の将来がレスリング選手決定でいいんじゃないかばりのタックルで圧倒してました。
「そうか―君たちも高めあうのか」といったおっさんの文言が孤独すぎて、宮園側に寄りすぎてる妙なサブタイトルには反したいのでそっち側と解釈。ちなみに、真性ドSと言われていた井川は明らかにMかと
(というか、このアニメは基本Mで出来ている気がする…)。
あと、まじめなことを言うと、「悲しみに慣れておくため」なのは自分に悲しんで欲しいその身上があることこの上ない喜びを、寧ろ蔑ろにしたような発言だったから、それはそれでヤンデレだと感じる有のママだったと思った回。
第14話「足跡」
最終回に向けて本格的にフラグを立て始める。一方で、全力の椿、夏の恋回。協力:いちご同盟…。
今の関係が壊れてしまうからと悩む椿と、関係すら築かないように「君」で通し続ける公生。自分を必要としてくれる存在を無くした少女の淡い物語が砂上に零れる。
第15話「うそつき」先週より引き続き椿回。
ただひたすらに、中一の子をお持ち帰りしたとある男の鈍感さを呪う回。
男にも好かれ烏にも黒猫にも好かれ…この好かれる力を今度は論客の迷えるおっさんたちに向けてきっと解き放す他はないでしょうに。
第16話「似たもの同士」
天才・有馬への刺客・凪も詩人だったことが発覚。
金髪の子(入院中)が有のママのように着実に有馬を調教しつつ、有馬さんが天才的に勘違いしているこの関係は大変な奇跡だと思う。
もう三度登場の、自転車は二人で乗るものくらいに、ここまで「自転車の二人乗りは~」を明示したアニメはないはず。
第17話「トワイライト」
中一で女を語る凪、さすがの詩人力発揮。&渡の存在が光る回(やっぱ良い奴)でした。
それぞれの悪意(嘘)をうまく混在させてノイタミナ風味の軽妙なノリを些か抑えれば名作になりえたのに、と少々真面目なことを記載
(逆に言えば、ノイタミナの枠に合ってる作品であり逸しないもの)。
あと、変態的な詩人の役割は一人に絞ってほしいです…
更に!ここにきて、告白してフラれる変なキャラが二人も登場。
また、くる学祭では、ゆるキャラたちに対抗するかのようななまはげが見所。
また、EDの彼女の様相は病状を気遣ってるとは思えないくらいつめたい状況にあると思うからセンチメンタルな思惑にはどこか居たたまれない思いになりますです。
第18話「心重ねる」凪、演奏回。マングースのだめをさがせ!な回。
もうどこにでもいる演奏評論家と演奏者(今回は凪)の、妙に絡み合う心の声バトルはこの作品の持つ見所の一つだと思う。
第19話「さよならヒーロー」武士演奏回。
椿の机組体操。ペンのノック部のブルドック?の妙な存在感。
やっぱり登場、百段坂を一気に駆け上がった小武士。と小小小凪。
自己主張が強いのに伝え方が捻じ曲がっているというのか伝え方のバリエーションが豊富と取るのかは受け取り方次第かな?
第20話「手と手」黒猫回。
やっぱり誰かと誰かを繋いでくれる存在みたいな小さな黒猫。
嘘の乱立。告白の乱立。なんで急に告白しようと思ったのか、そこが気になる。
第21話「雪」
スポーツはメンタルトレーニングが鍵であるのを証明してくれてる公生。
雪の日に身体に障ることをまた…
再び呪文のような言葉が放たれる。マーシー。やっぱりこの子外国の子なんかなぁ…
(公生の)滑らかな指の動きの演出が丁寧できれい。
そして、走馬灯の駆け巡る公生のもとになぜか再び桜が咲く。
最終話「春風」前回からの続き。
ピアノを公衆の面前で弾いてるときでしか積極的なSになれない、相当な性癖の持ち主、主人公。
いつのまに旅立ってしまう公生。そして、アニメの世界からも旅立ってしまわれた。
語られるモノローグ。
最後に小宮園の登場で(子どもパートの)祝・コンプリート。
「大人になったのね」が意味深。最後の最後で変態的な物語のいくつかを回収してるように感じた。
個人的に、変態アニメの称号を贈りたいところです。
また、この登場人物たちの物語はいっしょに遊ぶことの延長線上にあるような気がしています。
たとえば、金髪の子、宮園かをりと出会ってからの主人公は、本人が変わったように思うところが見受けられるが、しっかりした大人がいれば、中高生の感情なんてもっと無差別で良いのに、理由をつけて音楽をするのは、結局何も変わっていないことなんだと思える点で、主人公が欲しかったのはいっしょに遊べるという安心感、それは母の指導が遊ぶことに取って代わるものになっていたということだとも思えます(家庭環境から遊ぶことの選択肢が少なかったからでは?)。
そして、母の死から立ち直れないから?というのが、主人公の多用する「君」への違和感にも通じます。
距離感が近いのに詩的なニュアンスの「君」という使い方には、恥ずかしいから、その繊細さから取繕ってしまう「君」の使い方ではないようで、何かに捕らわれて音楽に向き合っているとも考えられるからそこに純粋な思考があるのか提起できないでいます。
主人公は、時に演奏時に、言葉で奮起させて自分を鼓舞させるだけの強さがあるように思えるから、演奏しながら(心の声で)言葉を言い放てる余裕ないしの状況理解力があるように思うのは天才的というか、その判断力こそはプロスポーツ選手が持つといわれる脳構造に近いと勝手ながらに睨んでいるので、努力家であり、彼には悲愴的な物語は似合わないとの思いです。
<総評に近いもの>
物語の終盤になると重々しい空気になりがちになるので、新垣(作曲家)さんのイメージをお借りして投影させて見てきました。穿った見方ですが、気がついたときには新垣さんを応援したい気持ちになっていました。
物語的に、過去の天才的なアーティストを美化している穿ったもので反映しているように思ったので、新垣さんの帳消し力のような魅力で何とか最後まで見れたのだと感じます。
ピアニストの運命を彼に背負わせた母と金髪の子は心を奪うという恋とは違う、殺人に相当する方の残酷なことを冒している点で本当にまっすぐには見れなかったので。
言うなれば、二度も人物(キャラクター)を殺しているようなものだから、それを紛らわせているようなギャグパートや回想、センチメンタルな情景を利用して本当のことを隠しているのなら(隠す行為もそれはそれで罪なのかもしれない…)、美化して正当する安直さにある物語では正しい評価は出来ず、ある程度悪意をはっきりと持たせて欲しい思いでした。
背負わせていることが罪なのではなく、彼の気持ちを利用して、もちろん利用しているという過度なことは印象に過ぎず、関係的に支配しているということが洗脳に近いもの(まさにゴーストライター側の)であって「私がいなければ生きられないでしょ」と言っているような悪意が自由な風潮の音楽(クラシック音楽とは違うのかもしれませんが)と一転して真逆にあるから凄い嫌な気持ちになってました。
かといって、公生は人に無関心な人間であるからどうとも言えないのも一つありますが、だから鈍感である彼の性格に課せられた荷ではまだ救いがあったのかもしれません。
かなり話は脱線しますが、将来ピアニストの道に進むだろうから、いまは個人技が目立つ演奏でも、ソロピアニストよりオーケストラでの演奏を目指した方が良いかなと勝手ながらに思ってます。
一番勿体ないのは「四月は君の嘘」というタイトルなのになぜ四月に放送しなかったのかという点。4月に向けて話をまとめる作戦?
物語りも作りもカラフルな仕様なのに、10月スタートの今作は、春のぽかぽかさを同時に感じれる機会を逸してるので、少々センチメンタルな感情には同調しにくいのではないかというきらいです。
(最近その謎がただ単に、原作の連載終了に合わせての放送だったと聞いて、なんだ、商業的購買促進用かーい!って感じですが)
新譜を幼馴染の二人がイヤホンを介して聞くという時間を共有している場面でも青春の恋愛の一部分を連想させるところだと感じるも、聞いている曲がスキマスイッチの曲でも秦基博の「鱗」でも無かった点でものすごく勿体なく感じてます。
個人的には、センチメンタルな情景の多数ある本作には、スピッツを押したいですね。
また、次回予告が作られないことで有名?なノイタミナ枠のアニメとしては珍しく次回予告がなされている点も注目。EDの中に次回予告を盛り込む、斬新な見せ方は素敵です。
物語の内容自体は変態ちっくでありましたが、それを緩和するように黒猫やマングースのだめ等を代表とする可愛いキャラクターたちが節々に登場したり、それぞれ主要人物のキャラクターにミニミニ時代のエピソードが設けられていたりと見所は多いにあったように思います…
が、自転車の二人乗りは法令で禁止されております
ので、ご留意ください。