あしすと さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
若かりし頃なら憧れていた厨二青春もの
初めに断っておきますと、このレビューはクライマックスをネタバレした上で文章を構成します。
なので、これからこの作品を見ようと思っている方は読まないことをお勧めします。
{netabare}
まず、この作品はタイトルの通り「厨二青春もの」だと思います。
つまり、自分が人生という物語の主人公でありたいと思う願望を満たしてくれる作品だということです。
「厨二」と表現したのはクライマックスに超展開バトル的要素があったり、宇宙人的なファンタジー要素があるからではありません。
クライマックスがアンハッピーエンドであるものの、それを悲劇として作品を締めるのではなく、主人公たちの成長の過程として表現しているからです。
さらに具体的に説明します。
主人公の海人くん。
高校生活の夏に映画を撮るという、アニメではありがちでも現実ではよほどのことがない限り実現しないであろう状況にある羨ましい子。
美人のイチカ先輩に一目ぼれして、あれよあれよと一緒に映画を撮ることになり、同居をすることになり、両想いになってお付き合いをするという羨ましい子。
イチカ先輩のピンチに駆けつけ、男らしく先輩を守ることができるここぞというときにカッコイイ子。
最終的には抗いようのない運命に翻弄され、イチカ先輩との仲を引き裂かれてしまう悲劇の主人公。
でも、それを悲劇として捉えて自暴自棄になったりすることなく、それを自分の中の大切な思い出として、前を向いて生きていこうとする、輝かしい未来が待っている高校生。
まぁ、海人くんについてはこんな感じでしょう。
もちろん、悲劇のヒロイン・イチカ先輩を中心に観る人もいるでしょうし、報われない切ないポジションのかんなを中心に観る人もいるでしょうし、哲朗や美桜を中心に観る人もいるでしょうが、それについては割愛します。
で、結局何を言いたいかといいますと、これは「憧れの青春」が詰め込まれた物語であり、青春の1ページだからこそ、ハッピーエンドでなくとも許されるということです。
そこに宇宙人とかトンデモ超展開とかは関係ありません。
だって、先輩のピンチが宇宙人絡みじゃなく、単に不良に絡まれたとかだったら?
先輩の秘密が、実は宇宙人とかぶっとんだ話じゃなく、実は何か現実でもありそうな隠し事とかだったら?
別離の理由が、宇宙に連れ戻されるとかじゃなく、単なる引っ越しとか進学によるものだとしたら?
この作品は、それをアニメ超展開にしただけです。
でもだからといって、夏休みに自主映画を撮って先輩と付き合って、運命に引き裂かれるなんていう、怒涛の人生を送ることなんてあるわけありません(笑)
実際にそんなことがあったら、そいつはどんなドラマの主人公だよ?と(笑)
だから、自分はこの作品を「若者が憧れる厨二青春もの」と思う訳です。
なので、この作品を見る上では、多少なりともそこに感情移入できるかが重要になると思います。
で、自分にはもう、そういう見方をするのは無理でした(笑)
いやね、僕は元中二病ですから、昔を思い出すと多少なりとも身に覚えはありますよ?(笑)
例えば、映画(というか原作小説)バトルロワイヤルを見て、自分がこの状況に巻き込まれたらどういうポジションだろう?…とか。
このアニメと同じようなコンセプトであろう青春恋愛映画(実写邦画)を見て、ハッピーエンドじゃない結末にも憧れを抱いたり。
でもねぇ、これは自分でも気付かないうちになんですが、いつの間にやら「自分が中二病」という状況は卒業していたようなんです。
中二バトルアニメが好きな僕ですが、そこに感情移入をすることはあっても自己投影はしなくなっていて、客観的に見るようになっていたんです。
例えばSAOを見て、「自分があのバーチャル世界にダイブしたら…」とか考えなくなっていたんです。
そんな自分にとってのこの作品「あの夏で待ってる」。
甘酸っぱすぎて見てられませんでした(笑)
いや最後までは見たんですけど(笑)
いくらアニメの登場人物たちが作品内である意味では納得できているとしても、アンハッピーエンドは好き好んで見たくなかったです。
もう、こんなひと夏の経験に憧れを抱ける歳でもありませんでした(笑)
縁あって後日談のOVAも見ることができたのですが、個人的希望を言えば、そこでは海人とかんなにくっついていてほしかったかな。
余り者同士だからくっついた、ということではなく、「一緒にあの夏を過ごした二人だからこそ、イチカ先輩のことは忘れずに分かりあうことができた」みたいな描写で。
そうすると確かに安い終わり方になってしまうのは否定しませんが、ハッピーエンドに変わるでしょ?(笑)
{/netabare}
こういう作品は今の自分にはやっぱり苦手分野でしたわ~(笑)