麦茶 さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
『楽しさ』と『面白さ』
[ 熱中度:C ] [ 好み:D ] [ 楽しさ:D ] [ 面白さ:B ]
[ 作画:B+ ] [ 演出・絵コンテ:B ] [ キャラ:C ] [ 音楽:C+ ]
<< 総合評価:C >>
【『楽しさ』と『面白さ』】(2015.4/6)
完走したので、まとめのレビューをひとつ。
やっぱり、最後までイマイチ「楽しさ」を感じることができませんでした。
SHIROBAKOはアニメ制作会社の内側を描いた、ジャンル的にはお仕事アニメと呼ばれる部類のもの。人間のドラマも描いてはいますが、ほとんどが仕事の忙しさや裏事情、いわゆる業界ネタありきでそれらが構成されているため、どうしても面白さが無機質になりがちで・・・。
そう、ドラマなのに劇的でないんです。内容がとても淡白な感じ。
アニメ制作を主軸に物語が構成されているからか、ドラマにしてはキャラが信念をもっているようなイメージが薄いんですよね。というよりも、キャラの魅力を汲み取りづらいというか・・・ああ、主人公がメインっぽくなかったのがその原因かもしれません。
やっぱりアニメの主人公って、歯車じゃなくてエンジンでいて欲しいじゃないですか。歯車だからこそ、作中でいろんな立場の人たちとの出会いがあり、その中でドラマも生まれたのでしょうけど、それは「アニメ制作」という軸を基点としたドラマであり、主人公宮森のドラマではないんですよね。
この場合の宮森のドラマとは、1話冒頭で出た学生時代の夢のことで、以前の投稿でも書いてますが、ここがかなり弱いんです。基本お仕事の忙しさを描いて、思い出したかのように友達と飲みながら夢の話。まあこれがリアルなんでしょうけど、それでは後々叶ったとしてもなんのカタルシスもないじゃないですかw
終盤はそれらの「夢」や「アニメを作る理由」に関したお話を入れてくれてますが、あれでは物足りなく感じてしまいましたね~・・・。むしろそんな視聴者の不満を見透かしてとりあえず取ってつけたように入れてきた気さえしてくるほどでした。作品をまとめるためだけの布石みたいな。なんか宮森が嬉しくて泣いていても、私の方にここまでの下積みがほとんどない状態ではテンションがついていけません。置いてけぼりをくらった形です。
まあジャンルが「お仕事アニメ」なので、個ではなく全体を重視してしまうのは仕方のないことだとは思いますが、もう少し主人公にスポットを当てて物語を進めて欲しいと感じてしまいました。何だか主人公が蚊帳の外というか・・・どちらかと言うと宮森が照明係みたいな感じですよねコレ。
ただ、そんな中でも唯一好きになれた「監督:木下誠一」というキャラクターもいます。
この人だけは、作中で語るアニメ観や台詞の節々から滲む人柄等、見ていてとても活き活きとしていて掴みどころが多かったように思います。まあポジション的に出番も多かったからかもしれませんが。
彼を見る限り、登場人物の掘り下げや作り込みが下手なわけじゃなかったとは思うのですが、どうにも他のキャラでは魅力が薄く感じてしまったんですよね。残念です。
まあ色々書きましたが、私自身アニメ業界には興味ありますし、この作品を通してアニメ制作の裏側(デフォルメされてますが)を見ることができたのは素直に嬉しかったです。その点、「面白さ」では第19話の回想シーン等良い部分もあったと思っています。物語の評価を3.0にしているのはこのおかげですね。「楽しさ」だけだったら2.0くらいに留まっていたかもしれません。こういうベクトルでの強さはお仕事アニメならではだと思います。
でも最終的な話、やっぱり作品との相性が悪かったんでしょうね~。
少し残念ですがこればっかりは仕方ないです。
閲覧ありがとうございました。
【エンターテイメント】(2015.2/19)
内容は悪くないとは思います。アニメ業界のネタも見ていて興味を惹きますし、最近は話も動かしてきていて、なかなか面白くなってはいます。
でもやっぱり「楽しさ」がどうしても弱いんです。
今作はお仕事アニメということで、業界ネタをパロディとしたところに重点を置いて攻めているみたいですが、いかんせん「それだけ」という印象があります。この作品を通じて、制作側が何を魅せたいのかが見えてきません。
1話にあった学生の頃の「皆でアニメを作りたい」云々もたまに一緒に飲んで近況報告くらいでそこまで重要視してる感じではないし、もっぱらムサニの仕事関連の話ばっかりですよね。よくある会社内のドタバタ。日常系アニメにしてはコメディ要素が少なく、軸にストーリーがあることを臭わせている割には物語性が薄いんです。
登場キャラの生活風景を描いているという点で今作を日常系アニメ(群像劇に近いけど)と称しましたが、今作はあくまで仕事にスポットを当てているため、面白さが無機質なんですよね。設定資料を読まされている感覚です。業界ネタありきで、キャラの魅力が薄いというか、主人公が主人公らしくないのもそれを助長しているような気がします。
もっと学生の頃の夢が日々の仕事の忙しさで薄れていくところにドラマを持たせたりとか、本当に自分のやりたかったことはこれだったのか(タイヤちゃんでやってたけど弱い)みたいな話を主人公にも作ったりとか・・・よくある理想と現実の葛藤ですね。考えればいくらでも盛れる気がするのですけど、なかなかそういう話はもってきてくれません。
これじゃ最終的に学生の頃の友達とどうこうしたところで・・・って感じになっちゃいませんか?
まあSHIROBAKOが魅せたいものとは違ったというだけなのでしょうけど、だとしたらこの作品に残るものって「業界ネタ」くらいになってしまうと思うんですよね・・・。そもそもこの方向性だったら、パロディに力を入れて小ネタ集的な短編ギャグアニメをやった方がテンポもよくて良いんじゃないでしょうか。(※あくまで個人的な感想です)
あと内容で言えば、あんな{netabare}キャリアを持った杉江さん{/netabare}をムサニのスタッフが知らないor知ってたのにそれを差し置いて外へ応援を頼みに行くっていうのは舞台をお膳立てするためとはいえ無理があると思います。
{netabare}キャラデザのメガネさんがサンジョで苦戦した{/netabare}ときも、ゴスロリさんを良く魅せるために周りを無能にしているのが鼻につきましたし・・・。そもそもあれってゴスロリさんが推薦したのに監督たちに対してあの折檻はないですよ。抜擢したのは監督側とは言え、ずっと放置していたのはゴスロリさんも同じで、しかも同じ仕事をしている先輩ポジションっていうw
まあ他は概ね悪くはないンですけどね。女の子の顔が判子絵でまったく可愛くないのと、言語障害な原画ちゃんにイライラするくらいで特に文句はありません。へんな話あの子ってエマちゃんの母性を強調するためだけの装置ですよね。
どこで話を聞いてもけっこう人気な今作ですが、やっぱり業界ネタが受けてるのかな~?
個人的にはもうひと押し、なにかパンチが欲しい作品でした。
私が唯一この作品で「楽しい」と感じていた監督と本田さんの絡みも途中から激減してしまったのはかなりの痛手でしたが、平岡というこれまた最高なkzキャラがきてくれたので、コイツがなんかやらかして宮森に尻拭いしてもらうメシウマ展開がくることを楽しみにこれからも視聴は続けていくつもりです。
あぁ~早く平岡の絶望顔が見たいぃ~ あびゃ~