「アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者(TVアニメ動画)」

総合得点
83.1
感想・評価
2115
棚に入れた
12087
ランキング
335
★★★★☆ 3.7 (2115)
物語
3.7
作画
3.7
声優
3.8
音楽
3.6
キャラ
3.9

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

ファンタジー異世界とオタク文化の遭遇

 原作は未読。
 ジャンル的にはコメディなんだろうけど、コメディ要素で笑いを取るより、むしろ
ストーリーで魅せる作品かな、といった感じ。
 中世風ファンタジー世界と現代日本の異文化交流という面だけでなく、差別問題や文化侵略
などの社会問題を正面から取り上げていたのが印象的。

 差別問題に対する加納 慎一の取り組み方だが、「差別はいけない」と述べているだけでは、
今まで当たり前のように持ち合わせた価値観をそう簡単に変えることは難しく、漫画、ゲーム
などのオタク文化を持ち込み、そういったモノに親しむことにより、意識改革がなされていくと
いうのはやり方としてはなかなか上手いやり方なんじゃないかと。
 実際、アニメや漫画などの海外の反応サイトのコメントなどを読むと、単にアニメ、漫画
好きを通り越して、モノの見方や考え方が日本人のようになってしまっている人が随分いる
ことに気付く。
 ただ、後に慎一が片棒を担がされていたことに気付く、日本政府の戦略としての文化侵略も
これと同じやり方がなされているわけで、そういう意味では一般には良いとされる
差別撤廃でも、これまでの価値観を破壊するという意味では一種の文化侵略と言えるかも。

 基本的にはライトな感覚の作品なので、こういう社会問題の扱い方はあくまで表面上といった
印象。
 例えば種族間の差別は次第に薄れていったようで、作品内では皆が仲良くなりました的な
ところで止まっているが、差別撤廃のような平等思想が導入されていけば、種族差別の次は
身分による差別撤廃、更に極端になると帝政自体の可否にも繋がっていきそう。
 まあ、こういう作品にあまり濃い部分を望むのは野暮なんだろうけど。

 キャラに関しては正直ステレオタイプの域を超えていない印象だが、その範疇では悪くは
ない。
 慎一を囲むヒロインはミュセル・フォアラン、ペトラルカ・アン・エルダント三世、
エルビア・ハーナイマンと複数おり、立ち位置的にはハーレムものみたいだが、慎一の
心情的にはミュセル一択なんだろうなあ。
 個人的には的場 甚三郎の単純な悪役ではない食えない感じがなかなか良かった。

 コメディとしてはそれなりに面白かったが、作品内で教材として扱われた作品のパロディを
主体としたネタの面白さで、キャラや展開ではあまり笑いを取ることはなかったかな。
 この手の設定作品ではよくある異文化交流ドタバタは思いのほか少なかったのが、意外と
言えば意外。
 パロディで印象的だったのは7話で、
 及川 啓監督自身の過去作品である「みなみけ おかえり」を思わせる作品を取り上げて、
監督の能力の無さを指摘するような自虐的なネタを始め、
 ミュセル(三森 すずこ)、ペトラルカ(渕上 舞)、エルビア(上坂 すみれ)の中の人つながりの
ネタなど、メタ的なパロディが多かった

 中世風ファンタジー異世界に日本のオタク文化を持ち込むという作品コンセプト?のような
ものははうまく表現できていた印象で、更に1クールなりにきちんと締めて終わったのは
好印象。
 ただスケールの大きな設定の割にはこじんまりした印象が強かったかな。

投稿 : 2014/11/08
閲覧 : 270
サンキュー:

9

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