ダレイオス さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
完成度が高い短編映画
社会人なり立ての女性アヤの人生を第三者にあたるナレーションで
語られて進むストーリーなのですが
このアニメ、7分程度の短編映画ながらかなり内容が濃いくて
最初の入りも凄く丁寧で感情移入しやすく短編映画とは思えないくらい
物語に入って行きやすいです。
最初の会社から自宅に帰宅する時の電車での辛そうなアヤの姿から始まる。
つり皮を持つ手が辛そうなナレーションの解説が入るので
社会人なら気持ちがわからなくもなくアヤの辛そうな気持ちはよくわかります。
妙にナレーションの解説が丁寧なのでそのおかげでかなり感情移入しやすい。
父親からかかってきた電話に対して元気だと振舞うアヤだけど
ナレーションで実は会社で怒られたとか妙に生々しい話が入り
父親も元気だと言いうけど実は上司に怒られたと
ナレーションで解説が入るので、社会人ならその生々しいシーンは
気持ちは痛いほどわかるし、社会人ならではのありえそうな話は現実感があり
そのおかけで冒頭からわずが数分しか経ってないとは思えないほど
物語に入って行きやすい。
最初にアヤの現状がよくわかる状態を上手く演出してから
その後アヤの子供のころの話に入るので、過去の話も頭に入って行きやすいし
過去の話は娘と父親の実にいい話で
聞いているこっちが恥ずかしくなるぐらい微笑ましいです。
冒頭の嫌な話からのギャップもあり反則的なくらい感動が訪れました。
わずか7分だけどストーリーの完成度は高い。
気になる所はナレーションがただの天の声では無く
作品中に登場するキャラであることが最後まで聞いたらわかるですが
誰なのかはすぐにはハッキリしなかった。
会えなくなると言っているのでおそらくは亡くなった猫にあたると思うけど
自分のことをちゃん付けで呼んだり少し違和感があり、アヤの生まれた時から知っているのに
猫は最初からいないし時間軸の矛盾は気になる。
作画については未来的な雰囲気に見惚れる部分はあり
光の反射加減も綺麗でかなり好印象です。
絵自体もかなり丁寧に描けているので作画的にもクオリティーは高い。
曲については雰囲気に合っていてこれはかなり良かったです。
声優さんはナレーションの平野さんが実にいい感じにストーリーを
進めてくれたのでかなり良かったです。あんまり上手くない人だったら
別の作品になっていたかも知れません。
ナレーションの正体に引っかかるのが玉に瑕ですが
短編としてはかなり完成度が高い、父と娘の物語だとは思います。