101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
秋に是非観て欲しい『花いろ』劇場版
春、桜、新しい季節のスタート…。
東京の女子高生が地方の旅館で住み込みで働く中で、輝くことを見出していく…。
そんなイメージが強かった青春おしごとアニメの劇場版となった本作。
公開時期が春であったにも関わらず舞台は敢えて秋に設定。
狙いはTVアニメ版とは逆の要素をぶつけて反証することにより
輝くことをより普遍的なものとして提示しようという意図があったと思われます。
主人公の母が少女時代、田舎暮らしに居場所を見出せず、東京に輝きを見出す様子。
田舎の旅館で見つかることもあるが、閉鎖空間に籠ることで見えなるものがある可能性。
TVアニメ版とは真逆の要素をぶつけていくことで、輝き方について再考を促していく。
輝きとは春や田舎といった特定の条件に与えられるものじゃない。
自分でもがいて〝ぼんぼって"掴むもの。
そして角度は異なるものの、本劇場版もやはり青春を描いている。
TVアニメ版と併せてみることでより深みを感じられる劇場版。
失敗も多いアニメの劇場版の中でも本作は成功しつつ、
かつ興味深い劇場版の形を提示していると思います。
新年や新年度のスタートダッシュと好相性なTVアニメ版。
対して何かを始めるには中途半端な時期でも輝くことができる劇場版。
だから本作は秋…とまではいかなくてもスタートダッシュするには、
時期が悪すぎるタイミングでも有効なカンフル剤として
中途半端な季節にも鑑賞をオススメしたい作品です。