オキシドール大魔神 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
胸糞も突き抜けると印象に残る
ゲーム原作は大抵尺不足で産業廃棄物化するが、今作は2クールの尺があったので、比較的まともに映像化出来た方(それでも尺不足ではあったが、少なくとも産業廃棄物にはならなかった)。
OPはゲーム版に引き続きカルマ。サイズも1分半ではなくゲーム版と同様。映像も良かった。EDもそれなりに良い(ただ、いまいち歌詞が理解できないが)。
声優は、イオンが小林由美子になっていたが、問題なくはまっていた。ゆかな、中田譲治、子安、根谷など、冷静に考えると声優も豪華な作品。
テイルズシリーズの映像化は、アビス以外にも何個かあるが、大抵はOVA、あっても1クール。その点2クールの尺を貰え、OPもカルマを使用し、尺の許す限り原作を再現して、バトルの作画も結構頑張っていた。スタッフの愛は感じられる。
ただ、今一歩工夫は足りなかった。テイルズのような仲間を集めて進めるタイプのゲームは、ゲームでは敵の強さが調整されているのでよほど上手かヘタか以外は勝負になるが、アニメーションになると、多勢に無勢になってしまう。また、尺の都合上だろうが、敵キャラがあっさりと倒れてしまうシーンもある。ラルゴなんてナタリアの弓一発背中に刺さっただけで終わる。
続いて、原作からの難点だが、アビスは人を選ぶ展開がある。はっきり言ってシナリオの序盤から中盤はなかなか胸糞で、主人公含め主要キャラは大体クズである(ただし主人公には複雑な事情に加え、劣悪な環境もあって一概にクズとも言い切れない)。しかしながら、だからこそシナリオは印象に残る。主要キャラとボスクラスの敵キャラに因縁がある、主人公も横暴な振る舞いから改心し成長著しいなど良いところもあり、賛成派の評価は高い。
個人的には、普段なら胸糞ストーリーなど大嫌いなのだが、割と突き抜けているからか、なぜかそれほど嫌気は差さなかった。とはいえ、徹頭徹尾聖人の如き振る舞いを見せるマスコットキャラ的存在、唯一の良心ミュウがいなければ、切っていたかもしれない。
キャラの性格はクソなのが多いが、デザインは良いものが多い。見た目だけなら、ティアもアニスもナタリアも可愛い。特にティアに関しては見た目だけならテイルズシリーズの女キャラの中でも1,2位を争うレベル。
テイルズシリーズ10周年記念作品として、本作のゲームは作られた。「生まれた意味を知るRPG」のキャッチコピーは達成されている作品だが、主人公であるルークは徹頭徹尾不幸と言っても過言ではない。テイルズシリーズでも1,2位を争うくらいの不遇なキャラである。正直、ラストもルーク視点で考えるなら、バッドエンドと言っても過言ではない。
どうでもいいことだが、ヴァンデスデルカムストフェンデや、ナタリア・ルツ・キムラスカ・ランバルディアなど、フルネームの語呂や語感がいいキャラがいるのは、個人的にはポイントが高い。