どらむろ さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態：観終わった
銀魂スタッフが自由奔放に制作したおバカギャグコメディー。怪作です！
オンラインゲーム原作の2クールのファンタジーアニメ…
の皮を被った、おバカ下ネタパロネタなんでもござれの超カオスなギャグアニメ。
2010年代のアニメとは思えない、古き良きおバカギャグを体現した貴重な怪作です。
お下劣極まり無いシモネタを不快に思う人には明らかに不向き。
ネタのクオリティーはばらつきが激しく「テンポ」や「1話辺りのクオリティー」を重視する昨今の風潮に逆らった作風。
良くも悪くも伸び伸びと奔放なアニメであり、昔気質の細けぇ事は気にしない視聴姿勢が必須です。
{netabare}『物語』
廃ゲーマー少年な主人公・火風紺（ほかぜ・こん）が突如異世界ミラに召喚され、異世界の姫とその一行を助けて共に旅をする。
…と一見正統派のファンタジーアニメだが！
大真面目な冒険ファンタジーと思ってはいけない。
ギャグやお下劣なシモネタ、ゲームのパロネタ怒涛の嵐！
全般のノリは「銀魂」に近いです。
極めてアクの強い個性的キャラ同士が繰り広げるギャグは、ツボにハマれば爆笑！
…する一方、ネタのクオリティーはばらつきが激しく、使い回しや少々くどいシーンも多々あり、お世辞にも全編に渡りハイクオリティーとは言い難い。
が、実はそこが良かったり。
精々2クールで1話辺りの密度が要求される最近のアニメの風潮に逆らい、何クールも続く前提で（悪く言うとダラダラと）間延びしても一向に構わんッッ！
な感じの、昔ながらのギャグアニメの気風を21世紀にやっちゃった貴重な作品なのです。
本作を楽しく視聴出来る為には「寛容さ・おおらかさ」が必要かも。
例えば作画にしろ脚本にしろ「重箱の隅を楊枝でつつく」的な昨今の神経質なタイプの視聴者から見れば、イライラする部分もあるでしょう。
銀魂っぽいおバカなノリをニヤニヤと楽しみつつ、時に瞬間風速の鋭いギャグ、時に長々と前振りした後のオチも楽しむ。
スタッフが2クールもの尺を贅沢に自由奔放に与えられて作った怪作、それが本作イクシオンサーガです！
主人公・紺一行をつけ狙うライバルチーム、エレク様率いる特命旅団インコグニートとの対決が時にガチバトルだが大抵は「エレク様が紺にタマを破壊される」等々のお下劣なギャグ展開、この馬鹿馬鹿しいノリはかなり人を選びそうです。
無論、私は爆笑しましたｗ
エレク様の気の毒さに同情しつつも爆笑してしまう！
結構なんでもアリな破天荒なギャグアニメかと思いきや、ストーリーの大筋「紺が異世界から元の世界に帰りたい目的でエカルラート姫一行と同行・共闘、紆余曲折の陰謀とかもあり、最終的には目的を果たす」一本筋が通っており、全体を通して観ると脚本はしっかりしている。
頻繁におバカギャグで脱線（ラスボス戦でさえ散々迷走）しまくりつつも、本筋がしっかりしている為に、ストーリーは安定感がありました。
イクシオン「サーガ（物語）」としての完成度は高い。
ラストもずっと旅を続けてきた姫一行との絆や名残惜しい別れを経ての帰還という王道で、視聴後の満足感はかなり高いです。
物語評価は個人的好みからすると4.5か迷う所ですが、（作風上仕方が無いとはいえ）グダグダ感も拭えない部分もある為、やや厳し目の評価に。
『作画』
決して悪くは無く、ギャグアニメとしては十分満足。
エカルラート姫は他作品の美少女の基準からは外れるけれど、これが結構可愛いのです。
バトルシーンの迫力も案外侮れない。
『声優』
江口拓也さんの紺が持ち味発揮。江口さんは同年の「織田信奈の野望」の相良良晴役でもあり、小賢しく策を弄するしぶとい策士な主人公を好演。
他も豪華にして意外な配役多し。
三上枝織さんのエカルラート姫も独特の可愛さ出ていた。
福山潤さんがまさかのオカマ役。途中からは美人お姉さんの違和感が無くなっていく恐るべき好演でした！
中井和哉さんのセングレンも鮮烈な怪演ｗ
インコグニート隊のエレク様の神谷浩史さんのイケメンだが気の毒な演技初め、超豪華声優陣。
鈴村健一さんのギュスターヴは抜群のハマリ役でした…。
他、皇帝役に故・永井一郎さん等、脇役に至るまで豪華声優陣が各々の持ち味発揮、見逃せないです。
…ていうか、超テキトーな一発ネタの為だけに速水奨さん使うとはｗｗｗ
『音楽』
ゴールデンボンバーが担当するOP「DT捨テル」ED「レッツゴーED」
が、アニメ史上でも類を見ない最低最悪のお下劣な歌♪
主題歌のインパクトだけで大爆笑ですｗｗｗｗｗ
しかも、作品の主題にしっかりマッチしてしまっているのがまたｗｗｗ
マリアンデール（福山さん）「手伝おうか？」とかの合いの手がバッチリｗ
OPは紺役の江口拓也さんが歌うバージョンもあり、江口さん普通に上手くてこれまた素晴らしい♪
（プロ歌手的な巧さではなく、カラオケ的な微妙な上手さ）ｗ
その他多数の挿入歌も素晴らしい味を出している。
音楽評価は5.0か迷うレベル…なんか悔しいので0.5引きましたｗ
『キャラ』
極めてアクの強い個性派キャラクターの層も本作の魅力か。
主人公の紺はゲーマーのダメ少年だが、異世界でもしぶとく適応して小賢しく泥臭く小細工を弄する等、織田信奈の野望の相良良晴と相通じるタイプ、こういう主人公大好きです。
姫が死んだように偽装する小細工は、中々かっこ良かった。
エカルラート姫はビジュアル的にも性格的にも一般的アニメの萌えキャラとはズレてはいるが、実に可愛い。
根は優しかったり、聡明で覚悟もあったりする強さも魅力的。
紺との別れに悲しんだり、いじらしい一面が可愛い。
たまにはこういうヒロインが居てもいいんじゃないかな。
オカマのマリアンデール、豪傑だが可愛いモノ好きなセングレン等、声優の好演もあって強烈な印象がある。
インコグニート隊の薄幸美青年エレク様と彼に心酔するおバカ集団も愛すべき馬鹿野郎で好感持てるｗ
ボケ老人に見えて実はキレ者な皇帝や、変態貴族ジャグラバーク卿など、脇役の変態度も層も厚い。
ペットに、一番笑わされましたｗ{/netabare}
