yapix 塩麹塩美 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
清舟先生の生活費はどこから出てるのか?なんて野暮なこと考えちゃダメ!
世の中には天才というものがいる。
理不尽なほどに本質を鷲づかみにし、
苦も無く自分のものとしてしまう。
そんな種類の天才がいる。
半田清舟はそんなタイプの天才ではない。
幼少のころよりアカデミックな教育を受け、
基礎と理論をみっちり仕込まれ、
技術的には完成された腕を持つ書家。
いわば、職人のような書家、
それが、半田清舟である。
この域に達することができる人間はごく限られる。
天より与えられた才能がなければ、
ある種の天才でなければ、
到底この領域に足を踏み入れることはできない。
彼は岐路に立っていた。
自分の殻を破る必要に迫られていた。
職人で終わらないためには、
芸術家になるためには、
彼にしか書けない、
彼だけの書を
一から創造する必要があった。
そのためにやって来たのだ。
島へ。
そして、出会ったのだ。
なるに。
なるが可愛すぎる。
ころころ、キラキラ、わくわく、
夏のひまわりのようななる。
なると過ごす日々は、
全てが黄金色に輝く日々。
なるの触れるもの全てが、
真新しい喜びに彩られてゆく。
そんななると、
純度100%の子供であるなると、
世界を再発見していく清舟。
むしろ、再発見というより、新発見。
幼少時代を書を修めることに費やした清舟は、
世界を体験することが圧倒的に不足している。
知識として知っていることと、
身を以て理解していることとは、
本質的に異なる。
大人は類推することに慣れすぎている。
自身の経験則から新たな経験をも先入観なしには体験できない。
自分の知ってるコレとアレをブレンドしたような体験と感じたりする。
これはこれで大事な能力なのだが、時には邪魔になる。
子供の視点で、
なるの目線で、
世界を体験すること、
それが清舟の内なる衝動を、
心に湧き起こる創作への意欲を、
かき立てた。
まだまだ道半ばであるが、
彼はいずれたどり着くだろう。
自分自身が表現したい何かに。
半田清舟にしか書けない書に。
まあ、基本的にハートフルコメディなので、
清舟の書家としての苦悩を正面から描くってことはないでしょう。
それでいいんです。
なるの笑顔を観れるのであれば。
なるの「せんせい」を聞けるのであれば。
2期の制作を切望します。