オキシドール大魔神 さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
小さくなっても頭脳は同じ 迷宮なしの名探偵 真実はいつも一つ!!
コナン映画初作品。今作は爆弾捜索が事件のメイン。
ある殺人事件の解決シーンから開幕される。小五郎のポンコツっぷりや、コナンの推理力などを紹介しつつ、これから起こる事件の前フリにもなっている。森谷帝二のホームパーティーで、これでもかというくらい前フリ(本名を変える程の森谷のシンメトリーへのこだわり、建築家としての矜持、森谷の性格、森谷と蘭の対話、など)をして、一連の爆弾事件の幕開け。キック力増強シューズで蹴り出したリモコンで、爆弾付きラジコン飛行機を強引に爆破したのには笑えた。その後、『木の下』のヒントを基に、爆弾を安全地に運ぼうとするコナン。この過程で、なぜ爆弾が途中で止まったのかという前フリ。爆弾を人気のないところで爆破させることに成功したものの、入院する事になったコナン。その病院で、歩美ちゃんの発言『甘い匂い』、西多摩市の事件解決の前フリ。
『木の下』→木の根っこ→猫というダジャレはいがかなものかと思った。木製のベンチの下ということでいいじゃないかと。しかも、おばあちゃんもゲージの奥に張り付いている爆弾に気付かないものかね?とツッコミどころもある。
東都環状線に五つの爆弾を仕掛けた。時速60㎞を切ると、爆弾は爆発する。また、日没までに取り除かなかった場合も爆発する。どんどん事件のスケールが大きくなっていく。時速60㎞を切ると爆発するというのは理解できるが、日没でも爆発するというのはなぜか、を切り口にアガサ博士の何気ない発言から、爆弾は車体や車内ではなく、線路の間に仕掛けられていることを突き止める。このトリックは素直に面白かった。電車の路線を切り替える時の挿入歌も良かった。
一連の放火事件や爆弾事件が全て、森谷帝二の設計した建築物を標的としている事が判明する。順当に考えて、森谷帝二に恨みを持つ者の犯行ではないかとあたりをつけて、森谷邸を尋ねる一同。そこでコナンは、甘い匂いに気付く。この時点でコナンは、森谷が犯人なのではないかと疑うが、自分で自分の建造物を壊すなどあり得るのか?と疑心暗鬼に。その後、ギャラリーで爆弾のターゲットないし放火された建築物の共通点、極めつけに幻となった西多摩市の模型を見つけ、コナンは森谷が犯人だと確信する。ただ、証拠がない為、コナンはハッタリを仕掛ける事にする。そのハッタリは見事にはまり、犯人=森谷帝二を突き止める。
これで一件落着かと思いきや、予め仕掛けておいた米花シティビルの爆弾が爆発し始める。爆弾の設計図を入手したコナンは、米花シティビルに駆けつけ、蘭と電話しながら爆弾の線を切っていく。作業は順調に進むも、残り3分で、設計図にはない線が2本あることが判明。必死で考えるも、どちらの線を切ればいいか分からないコナンは、『死ぬときは一緒』と蘭に運命を託す。熱い。ただ、位置や角度的にどう見ても赤の線を切ったのに実際に切ったのは青の線でしたという演出は、ベタであったとしてもあまり好きじゃない。
ラッキーカラーは赤という情報があったので、赤切れば助かる赤切れ、と(おそらくは制作側の望んだ通り)見事に間違った方向に誘導されたのは逆に気持ち良かったし、犯人視点で考えれば、赤を切らせるミスリード仕掛ける方が普通だ。青い線の切断を実行した蘭の理屈が『赤い糸は新一とつながっているかもしれない』とロマンチック全開だったのには、いい意味で脱帽するしかなかった。犯人の謀略を、素人のロマンチックが上回るというのは熱い。
一見無駄なシーンも大体が前フリ。森谷邸での推理披露シーンに繋がる無駄のない構成。絶妙な事件のインフレに、緊張感とロマンチックを兼ね備えたラスト。初映画作品にして完成度が高い。不満点と言えば爆弾の線を切るシーンの演出くらい。名作。
蘭が助かって号泣する小五郎に対して、しらけ顔の蘭には笑えた。でも、愛娘が助かったんだからあの反応は仕方ないし、蘭もそんなしらけ顔しなくても、とは思った。