退会済のユーザー さんの感想・評価
4.2
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
タイトルなし
この作品の持つメッセージとは、おそらく功介の「前見て走れ!」。
【時をかける少女】という題名だけど、しかし作中でのタイムリープの表現は「飛ぶ」あるいは「跳ぶ」であり「駆ける」のではないのだ。
主人公が「駆ける」のは、千昭のもとに向かう終盤。そしてタイトルの時とは、過去でも未来でもなく、今。
未来に目を向けず、今に目を逸らして過去へと転がり続けた思春期真っ盛りの少女が、自分の中で友達以上恋人未満になりつつある少年に会いたい、という【今】その時を全力で駆けるその姿は感動的だった。(この疾走シーンの演技は、本職じゃない人にしては随分巧かったなぁ)
始まった当初はバカ丸出しで色気も無く、男友達との付き合いが主だった等身大の少女が、終わってみれば淡い恋を体験し、青春を全力疾走して、将来にヴィジョンを持ち、オマケに親しい男友達に対して秘密まで持ってしまった。思春期ってスゲェな。
また、主人公の相談役である魔女おばさん。彼女が魅力的なんだよなぁ。
微笑みながら主人公の心にグサッとくることを呟いたり、言ってることが二転三転したり、弄んでるようでいて、大人の余裕で主人公を支えてくれた。主人公が作中で【考える】キッカケをくれるのは、いつも彼女だ。
……よくよく考えれば、魔女おばさんの助言とか相槌って、タイムリープ、などという大層な設定無しでも言えちゃう内容だったりする。だからこそ僕ら視聴する側は、本作をSFモノとしてではなく、青春モノとして観ることが出来ているんじゃないかなぁなんて考えてみたり。
「タイムリープ(過去にとぶ)なんて、真琴ぐらいの年代じゃよくあること」的なセリフも、現実逃避したがりな思春期の少女への相槌と捉えてもなにも問題ないもの。
キャスティングの棒読み具合とか(功介絡みのコメディパートとか、もうちょっと笑えたはずなんだよ)、一部選曲とかにしっくりこないこともあったものの、総じて素晴らしい作品、という評価を下すことに躊躇いはない。